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事業承継をする後継者が学ぶべき智慧(5)ー組織戦略

組織とは、解決すべき重要な課題(戦略)に対して具体的な手立て(戦術)の立案と実行(戦闘)を行う

ことが、その役割となります。

 

組織とは何かと尋ねますと人の集団という回答をいただきます。一面、それは正しい。しかし、それだ

けでは足らない。

一定の目的に向かって各個人に役割を与え仕事を体系化したものというのが、もう一つの回答となりま

す。

 

ここで重要となるのが「戦術」(課題を解決する具体策)です。社長は事業モデルと経営戦略を立案決

定することが、その職務であり、部長が戦術を考え、実行管理することになります。しかし、多くの中

小企業は、この部長職が弱いという特徴があります。中小企業は社長の個人能力に依存しており、部長

が育ちにくい背景があります。ここに“教育”が必要とされる所以があるわけです。課題を解決できない

部長など存在さえ不用となります。

 

クロネコヤマトを使って組織戦略について考えましょう。クロネコヤマトの事業テーマは「全国どこで

も翌日配達」です。これは今なお変わりません。解決すべき重要な課題は二点。

「配達方法の多様化」と「ドライバー退職離脱防止」。

まず現代人はシングル世帯数とダブルインカム世帯数の激増により、不在が状態化しています。なの

で、従来型のドライバーを自宅までお届けすることに限界が出ています。そこで配達方法の多様化が求

められます。近所のコンビニで受け取るか駅のロッカーで受け取るという方法を現在、オプションとし

て用意しています。これらを利用するには、ラインと連携したクロネコメンバーズに加入しなければな

りません。ラインはSNSですので、双方向性機能があります。例えばアマゾンで何かを購入したとし

ます。クロネコですとラインで配達予定日時の連絡が入ります。もし、その日時が不在であれば、変更

できますし、もし早くいるようなら近隣のコンビニに配達指示ができるという具合です。

 

次にドライバーの離脱です。指定配達サービスにより顧客サービスは向上したもの、その副作用とし

てドライバーの労働強化がすすんだ上に、残業代も支給せず。当然、退職者は増加。当然、業績も悪

化。これを解決するには、残業代支給は当然のことながら、残業そのものも減らさないといけない。

労働環境が正常化すれば、退職者は減るという考え方です。

 

さあ、上記二つの戦略についての戦術を部長職は考えなければならない。当然、部長一人ではなく、企

画担当者と会議を通じて戦術を考えます。配達方法の多様化として、クロネコメンバーズの会員数増強

と加盟コンビニ店舗数と駅ロッカー設置数を増加して、顧客の受け取りの簡便化を促進することになり

ます。これらの増加とともに預かり荷物数が減少し、配達荷物数が増えれば、課題は解決できたという

ことになります。

次にドライバー退職離脱防止に移りましょう。先ほども触れましたが、生産性強化の名のもとに過酷な

労働を強いられた結果として退職者数が増えている。なので、就業規則を順守することが必要になりま

す。仕事量を緩和しなければならない。先ほどのクロネコメンバーズ会員数増加自体、仕事量緩和につ

ながるわけですが、それだけでは、むつかしい。なので、指定配達時間帯の削減(PM12:00~P

M14時配達廃止)と統合(18時~20時、20時~21時を統合)、ネット通販大手に対して、上

限規制を設定しました。これは画期的なことです。労働者の仕事への影響を配慮して顧客へのサービス

を低下させたのは、戦後、はじめてのことだと思います。いずれにしろ、これにより、残業時間数が従

前より減少し、そして退職者数が減れば、その戦術は有効といえるのです。

 

いずれにしろ、戦略を戦術に転換することが部長職の役割なのです。これができない部長が中小企業の

場合、確かに多い。ここで教育の必要性が生じてくるのです。部長が部長として能力を発揮するまでは

社長が部長を兼務せざるをえない。部長を叱責しても何もはじまらない。組織づくりは、人づくりにつ

ながるのです。

 

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