企業家の肖像

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"企業家の肖像"は弊社ビジネススクールやコンサルティングを通して出会った優れた企業経営者に、その経営哲学や生き方の本音をインタビュー形式でお届けする企画です。

東大阪市に本社を構える株式会社グレンフィールドの新社長・木村弘道氏をお迎えしました。釣り用サングラスというニッチ分野でトップをひた走る同社の今後の取り組みや社長就任にあたっての意気込みを語っていただきました。

第22回 株式会社 グレンフィールド 代表取締役社長 木村 弘道

〒577-0037
大阪府東大阪市御厨西ノ町2-1-3
https://www.zeque.net/

石)本日はよろしくお願いいたします!!

木村)こちらこそよろしくお願いいたします!!

石)私も顧問して長いですけど。創業何年になりますか?

木村)12年目ですね。

石)改めてですが、グレンフィールドという社名の由来についてお聞かせください。渓谷という意味ですね。

木村)そうですね。当時よく飲んでいたウイスキーの銘柄から連想しました。何かの分野でオンリーワンになりたいという想いも込めています。

石)ニッチトップと渓谷というイメージが心の中で重なり合ったのかな?

木村)当時は人・モノ・金すべてが貧弱でしたが、頑張ればニッチトップを目指せるかなという想いもありました。

石)もともとはスポーツ用品メーカーの中のサングラス事業部としてやっていましたよね。

木村)はい。

石)その頃の業績は順調だったのですか。

木村)いえ、私が配属される前は赤字続きで、事業部の存続も危うい状態でした。社命で事業部の立て直しにがむしゃらに取り組んだ結果、黒字を出すことができるまでに成長しました。

石)当初は釣りの分野ではなかったですよね。

木村)最初はウィンタースポーツをメインにしていました。ゴーグルとかスキー用のサングラス。また、サーフィンなどの横乗り系のサングラスも扱っていました。

石)先にライバルが入っているところに乗り込んでいった?

木村)無茶でしたね。

石)その後、釣りの分野に進出したのですか?

木村)進出しましたが釣りの分野でも最初は赤字でした。ただ、釣りの分野で戦える手ごたえはありました。

石)ライバルのいない分野で、これはいけるのではないかと考えたのですね。

木村)はい。その頃、バスフィッシングのブームが日本にきました。芸能人がこぞってバス釣りをして、それがメディアで取りあげられるという時代がありました。良い時代でしたがプロダクトアウト中心で、ものづくりと営業がかみ合わずいまいち乗り切れませんでした。

石)でもその後は利益が出るようになった。

木村)はい。マーケットイン思考で潜在的な需要を掘り起こせたのが大きかったです。

石)1年目から見ていますけど最初から利益が出ていたイメージです。

木村)ベースが法人化する前にできていたのが幸いでした。1年目は営業だけをして、赤字は解消した。2年目からは自分たちでものづくりにも取り組み、軌道に乗りました。

石)1年目から黒字。これは大きいよね。

木村)そうですね。ほぼ、トントンですけどね。

石)現在の事業の釣り用サングラスですが、業界でのポジションについて教えていただけますでしょうか。

木村)日本の釣人口は約500万人といわれています。ただ釣り道具にお金をかける層、いわゆる3万円の釣り用サングラスを買うような人数は20~30万人くらいですかね。ピラミッドでいうと頂点のみをターゲットとしています。

石)高い釣り具を持っている人がサングラスも買うということですか?

木村)そうですね。

石)釣り道具も高いものは高いからね。

木村)リールだけで10万円するものもありますね。竿まで入れると50万くらいのものもあります。

石)そこがマーケットやね。それでいうとライバルは・・・

木村)今、外資のメーカーが強くなっています。5年前から力をつけてきて徐々にシェアを獲得しつつあります。

石)その中でZEAL(グレンフィールドのサングラスブランド)は1位を死守していると。

木村)はい。2位が最近力をつけてきた外資系メーカー。3・4位が国内メーカーですね。勢力図は変わってきているので常に危機感はあります。

石)迫ってこられている危機感があるということですね。それでは販路拡大のきっかけは常に探っている?

木村)はい、チャンスは常に伺っています。

石)釣り業界はバス釣りのプロ、海釣りのプロ、川釣りのプロなどそれぞれ細分化されているイメージがあります。バス釣り以外にも海釣り、川釣りで販路を広げる余地はありますか?

木村)バス釣りだけではなく、イカ釣りや磯釣りもシェアを獲得できていますので国内の需要は限界にきていると感じることもあります。

石)今後は海外に向けて準備中というところでしょうか。

木村)はい。今はアジア、特に中国に進出したいと思っています。2~3年前から香港や台湾に向けて営業をして手ごたえを掴みつつあるので、次は本土の中国を狙っていきたいと考えています。

石)釣り人口も多そうですね。

木村)中国の釣り人口は5千万人といわれています。日本の10倍もある魅力的な市場です。

石)中国でもハイトップ層を狙う?

木村)ピラミッドの1%だけを狙います。

石)日本と同じ価格で勝負するのですか?

木村)そうですね。日本から中国への輸出で関税が結構かかります。値引きを迫られますが、そこは販売会社と折半する予定です。

石)海外の販路開拓が今後の方針だということですね。

木村)はい。日本の釣り道具にはアジアだけではなく世界中にファンが多くいます。メイドインジャパン神話が未だに通用する分野です。

石)具体的に営業を始めているのですか?

木村)商社を通じて販路を広げたり、中国のプロ選手と契約したりしています。中国にも釣り名人がいてブログなどで発信しているので発信力は期待できます。

石)ブログとかTwitterの影響力は絶大ですもんね。

木村)そうですね。最近は動画ですね。中国版YouTubeとかFacebookは影響力があります。

石)アクセス数は多いですか?

木村)日本のプロ選手と比べて一桁多い印象です。アジア中の方が見ていますので。契約選手もまだ5人ですが、30人まで増やしていきたいと考えています。

石)販売はこれからですか?

木村)はい。代理店は30社ほどありますが、一番の代理店と組みました。ただ、中国は広いので1社だけでは全土をカバーできません。あと何社か契約して中国全土に販路を持ちたいと思っています。

石)なるほど。中国市場は期待できそうですね!!
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石)話は変わりますが、経営で大切にしていることはありますか?理念とか?

木村)昨年社長に就任したばかりで道半ばですが、「自由」と「創造」を大事にする社風にしたいと思っています。

石)ものづくりや開発がメインの会社だと創造性を生み出すための仕組みづくりが大事になると思います。

木村)そうですね。アピールできる商材を生み出すには創造性は欠かせません。

石)開発には向き不向きがありそうですね。採用するにあたってどういう人物が望ましいとかありますか?例えばアウトドアやスポーツが好きとか?

木村)アウトドアに興味がないとやっていけないところはありますので初めに確認します。また、入社後に創造性を育むのは難しいと思うので、採用の段階で向き不向きを判断しています。

石)デザイン能力とかを見るのですか?

木村)それもありますが、どういう音楽、映画を観ているとかでその人の感性や傾向が掴めることが多いと感じています。今いる社員と趣味が被らない方が、会社としての引き出しが増えるのではないかと思います。

石)飲み会のような場で新商品のヒントが生まれたりすることもあるそうですが、そういった社内のコミュニケーションは積極的に実施しているのですか。

木村)新しいものを生み出すにはそういう場が大事だと感じています。営業・開発のメンバーとはよく飲み会をしています。他には女子会も開催されているようです。コミュニケーションが取れる場づくりは今後も大事にしていきたいと思っています。

石)他に社員のモチベーションがあがるような取り組みはありますか?

木村)まずは金銭的なインセンティブからと考えています。金銭的なもの以外の部分はこれからの課題です。

石)ものづくりと同時にひとづくりにも取り組む必要がありますね。社長に就任してから取り組むことが多くて大変だと思います。
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石)次の質問ですが、尊敬する人はいますか?

木村)古い人ですが開高健ですね。

石)サントリーの功労者ですね。

木村)小説家でもあり、釣り人でもあり、コピーライターでもある。昔広告の勉強をしていたことがあって、骨太かつ緻密なところ、そのバランスが好きでした。

石)釣りにも通じるところがありますね。

木村)彼の趣味に生きるという生き方に憧れました。

石)それでは最後の質問です。今後の夢・目標を教えてください。

木村)アジアで釣り用サングラスメーカーとしてトップになりたい。そして、あと何個かヒット商品を作りたいと思っています。

石)社員を引っ張っていくにあたり、大きい目標がないといけませんよね。

木村)勝算はあると思います。ものづくりを通じて多くの人に喜んでもらいたいという想いが強いですね。

石)個人としては何かありますか?

木村)Bar巡りとゴルフを楽しむことですかね。

石)最後に木村社長にとって経営とは?

木村)理想は「想像からの創造」です。創造するための引きだしを増やすことを常に考えています。

石)「想像からの創造」ですか、いいキャッチフレーズですね。ものづくりを愛する木村社長らしい言葉だと思います。

木村)結果、関わる人を幸せにできたらいいなと思います。

石)創造によって人を幸せにする、ものづくりの原点を見た気がします。インタビューは以上です。本日はありがとうございました。

木村)こちらこそ、ありがとうございました。

聞き手 パワーザイム株式会社
代表取締役 石光仁

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