企業家の肖像

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"企業家の肖像"は弊社ビジネススクールやコンサルティングを通して出会った優れた企業経営者に、その経営哲学や生き方の本音をインタビュー形式でお届けする企画です。

お客様の笑顔をデザインする会社。株式会社アイアンドエフの取締役執行役員、三木亮一氏にお話をお伺いしました。社員が誇れる会社にするために日々奮闘する三木氏に会社の成長の過程と今後の展望について語っていただきました。

株式会社アイアンドエフ 取締役執行役員 三木亮一氏

第23回 株式会社 アイアンドエフ 取締役執行役員 三木 亮一

本社:岡山市北区中山下1-2-3 太陽生命岡山ビル6F
東日本オフィス:東京都中央区銀座7-14-16 太陽銀座ビル3F
https://iandf.ne.jp/

石)本日はよろしくお願いいたします!!

三木)こちらこそよろしくお願いいたします!!

石)早速質問ですが、現在の会社(株式会社アイアンドエフ)には新卒で入社されたそうですが、その経緯を教えてください。

三木)子供の頃からテレビが大好きでテレビ局や制作会社に入りたかったんです。
テレビで猿岩石の「ユーラシア大陸横断ヒッチハイク」を見て憧れて、大学の時にはバックパッカーになって海外に一人で行っていました。

石)テレビ関係に入社希望だったのですね。

三木)はい。ただ、制作会社は全部落ちました。
販売や事務は向かないし、人と接する仕事がしたくて、どうしようかな、と考えていたときにマスコミに近い業種として広告業があると思いました。

石)それで広告に目を向けたと・・・。

三木)はい。私の地元が香川県で帰省した時に就職説明会がありました。
たまたま今の会社がブースを構えていて話を聞いてみたら少人数で若い人も多く自由な社風だと感じました。

石)社風は当時から変わっていない印象です。

三木)さらに東京でチャレンジしたいとも思っていたのですが、たまたま東京で1期生を募集していた。
チャンスだと思って面接を受けてみたら気に入ってもらえて、とんとん拍子で入社が決まりました。

石)実際、入社してみてどうでしたか?

三木)学生時代の僕は飽き性で長く続かない性格でした。ただ広告はお客様が変わると作るものも変わる。
常に新しいものと向き合うこの仕事は僕に合っていると思いました。

石)現在、ハウスメーカーを中心とした広告事業をされていますが、御社のサービスの内容と特色を教えてください。

三木)弊社はセールスプロモーション、販売の領域で広告物の制作をお手伝いすることが多いです。
現在のメインクライアントは大手ハウスメーカー、それ以外も住宅関連の企業様です。
暮らし・住まいに関するサービスを提供する会社のセールスプロモーションのお手伝いをしていることが特徴的かなと思います。

石)ライバル会社は少なくないと思います。ライバルとの差別化はできていますか?

三木)強みは「スピード感」と「お客様への理解の深さ」だと思います。
お客様に自分のところの社員と思われるぐらい、濃密な関係作りを心がけています。

石)「スピード感」でいうと、チラシの納期はどれくらいですか?

三木)新聞の折り込みだと、金曜日か土曜日の朝刊に入れるチラシの依頼がその週の月曜日にきます。

石)すごい短納期ですよね。

三木)そこに対応できるのが弊社の強みです。住宅メーカーは土日が集客の山になります。
逆算すると木曜日までに折込業者にチラシを納品しないといけません。
さらに住宅メーカーは火曜・水曜が休みなので月曜日に注文を頂いてその日の夜までに校了を取ります。

石)その日のうちに校了ですか!?素晴らしいですね。印刷業者も大変でしょうね。

三木)その点、価格競争も納期対応も協力していただいている印刷業者がいるので大変心強いです。

石)関連会社の協力体制も含めた対応の速さが住宅メーカーにとっての売りになるんでしょうね。

三木)はい。また、「お客様に対する理解」があるから「スピード感」を持った提供ができているのだと思います。

石)「お客様に対する理解」は長年かけて培ったものですか?

三木)はい。住宅メーカーのことも相当勉強しました。
住宅メーカーのセールス担当の方は個人で売上のノルマがあります。お客様を呼んでノルマを達成するためにチラシの依頼をいただきます。
そこで現場の人が望むことを直接ヒアリングして集客ができそうな広告を提案します。その過程で自然とお客様に対する理解が蓄積されていったという感じです。

石)自然と相手の要望が分かってくるということですね。

三木)今は阿吽の呼吸というか。
お客様の要望に対して完成度の高いものをすぐに提案できるようになってきています。

石)自分達の事情を分かってくれているところに注文する方がいいですもんね。
大手ハウスメーカーとの取引は何年くらいですか。

三木)約22年です。
弊社の本店は岡山にありますが、大手ハウスメーカーが国内に出店した最後のエリアが岡山でした。
その出店した最初の年にたまたま取引のチャンスをいただきました。そこからのお付き合いです。

石)大手ハウスメーカーは東京に本社があるので東京の業者がもっと食い込むと思いましたが意外ですね。

三木)販促の権限は現場に委ねられていて支店の決済でいろんなことができました。
最初の取引は岡山でしたが評判が良くて関西に広まり、最終的には東京の本社にまで食い込みました。

石)社内での紹介ですか。すごいですね。

三木)その期間足掛け20年ぐらいです。

石)素晴らしいですね。業界の現状と今後についてどうお考えですか。
ネット広告が増加しつつある中で折り込みチラシは減少すると推察しますが・・・。

三木)現状、「広告業界」というくくりでは、いわゆる4マスメディアと言われるテレビ・雑誌・新聞・ラジオからインターネットに予算の配分が移ってきています。
ここ10年~15年の流れです。我々は紙媒体を中心にお手伝いをしてきました。

石)やはり紙の重要性は薄れてきている?

三木)ただ住宅の広告に関して言うと、住宅は一生に一度の買い物で買回り品とは少し違います。
住宅・暮らしの分野でWEBを使ったプロモーションが成功した事例も少なく、まだまだ紙の重要性も認識していただけている。
お陰様で今でも安定して売上を稼げています。

石)今後も安定した売上が上がると考えていますか?

三木)ここ3年くらいでしょうか。状況が大きく変わってきました。
クライアントからも明確に今後紙(チラシ)の予算は縮小されますと予告されています。

石)はっきり言うね(笑)

三木)ただありがたいことに、クライアントからは
「御社は我々のことをよく理解してくれているので今後も継続的に取引はしたい。
今までと同じような紙ではなく動画のコンテンツやWEB集客のサポートをいただける知見やノウハウを少しずつでもいいので身につけてください」
と言われています。

石)いい関係が築けているからこそできる会話ですね。

三木)そこは素直に嬉しいです。

石)では、今後は新たなノウハウ習得や技術開発に取り組む予定ですか?

三木)そこが難しいところで、新しい領域にいろいろなサービスが出てきています。開発した知見やノウハウが数年後には廃れている可能性もあります。
まずは僕たちが持っているノウハウを活かしてタッグを組んでくれる企業と新しい価値やサービスを提供していきたいと考えています。
ここで何か集客につながるようなノウハウが生まれた時にはじめて事業化を検討すればいいかなと思っています。

石)情報を集めながら可能性を探っているということですね。
新しいビジネスモデル・価値を生み出すとなると社員の動き方も変えていかないといけないケースも出てきますね。

三木)その通りだと思います。
今までは口コミが広まるにつれ、何もしなくても仕事がどんどん降ってくる状況でした。
それを一生懸命、人を補填しながらこなす。それだけで精一杯でしたし、売上も利益も結果としてついてきました。

石)いい時代が長かった。

三木)はい。ただこれからは、これまでと同じように待っているだけでは仕事が来ない。
積極的にクライアントに入りこんで販売促進のニーズを掘り起こすことから始めないと売上に繋がらなくなります。
今後は自発的に動ける人材の確保と育成が非常に重要だと考えています。

石)ところで、御社の売上の何割がメインクライアントですか?

三木)売上の内訳で言うとメインクライアントが9割を占めています。

石)9割ですか!?

三木)偏りがある状況をよしとは思っていませんが、メインクライアントで伸ばせる余地もまだまだあると考えています。
まずここでしっかり取り組んでそこで生まれたノウハウを横展開していきたい。
そしてそれに合った人材の採用・教育をきっちり行っていきたい。それがここ3年から5年先の方針です。

石)御社ではこの10年間、急激に採用が増えていますね。
当然、営業と制作、両方の人材が充実しなければいけません。そこで教育が重要になってきますが、御社の「社員教育への取り組み」をお聞かせください。
また、弊社の「コンサルティング(幹部研修)」についてもご感想をお願いいたします。

三木)コンサルティング(幹部研修)をお願いしようと思ったのは、会議がうまくできていないと強く感じたことに始まります。
例えば、言葉ひとつをとっても社員間の定義が様々で議論が噛み合わない、新しい取り組みも成果が出ないと尻すぼみになってしまう。
これらの問題を有耶無耶にしたままの状態が続いていて従業員に対しても申し訳ないと思っていました。ここを変えないと会社の成長はないと思いました。研修では経営層の中でしっかり戦略を見定めて、これを戦術・戦闘に落とし込んでいく、その部分をしっかりレクチャーしていただきました。

石)急に変わるのは難しいと思いますが、変わってきた実感はありますか?

三木)トップ層への教育は少しずつ成果が上がってきていると感じますが、課長以下の教育はまだまだ工夫が必要だと感じています。
会社として経営戦略を立てたところでそれを実行する人材がいなければ実現できません。

石)経営陣はだいぶ方向性が見えてきたので次は戦闘力を磨くことですね。ここを鍛えたら数字がだいぶ変わると思います。

三木)はい。あと一歩のところまで来ている実感はあります。
今は会社として利益も出ているのでここがお金の使いどころだとアクセルを踏んでいる状態です。
ここ2~3年が成長を加速させる意味でも勝負の時期だなと思います。

石)「現場教育」について、取り組みを教えてください。

三木)これまでは教育制度もなくOJTでとにかく現場を見て学べというスタイルでやってきました。
ただここ数年、人が増えたこともあり、まず人事考課制度を整えることにしました。

石)評価の納得性はモチベーションに直結するので重要です。

三木)評価に納得してもらわないと成長意欲も失われてしまうと思いました。
それまでは売上と利益が伸びていれば年1回、昇給のタイミングで経営陣が集まって何となく売上・利益の伸び率に応じて昇給を決めていました。

石)納得性はないよね。

三木)納得性を高める考課制度がこれからのあり方だろうということで、人事系のコンサルタントと相談しながら職務等級制度を導入しました。

石)賃金テーブルは社員に公開しているんですか?

三木)はい。役職に応じて、いくら給料がもらえるというところまでオープンにしています。

石)50人以下の会社でそこまで整えているところは正直見たことがありません。
人事考課制度は浸透するまで時間がかかったのではないですか?

三木)5年かけてようやく浸透しつつあります。

石)最近、働き方改革が社会問題になっていますがその前からしっかり取り組んでいたところが流石だと思います。
運用はうまくいっていますか?

三木)定着はしましたが運用の部分はまだまだです。目標設定の方法や面談等を試行錯誤しています。
納得性を高めないと意味がないので考課者研修も実施しています。

石)評価する側がレベルを上げてフィードバックだったりとか、普段の面談で部下のモチベーションだったりとかを見られるようにできればいいですね。



石)次の質問です。企業経営で大切にしていることを教えてください。まずは社是からお聞かせください。

三木)社是は「三つの笑顔(①お客様の笑顔、②社員の笑顔、③家族の笑顔)」です。
「お客様→社員→家族」の順番が大事だと考えています。
まずお客様に笑顔になってもらう、それで初めて私たちも笑顔になれる。
仕事があることによって雇用が確保できて収入が安定する。
結果として家族も笑顔になる。
仕事は楽しくないと長続きもしないし、努力をしようという気も起こらない。そこが働く原動力だろうということで社是にしております。

石)仕事を楽しむ。今後の企業経営において大事なキーワードですね。経営理念についてもお聞かせください。

三木)これも三つあって、
一つは「お客様のバディ」となること。もう一つが「成長意欲の高い組織」。最後は「社員が誇れる会社」です。

石)バディですか?

三木)生死を共にするのがバディです。
お客様とパートナー以上の関係性、まさに「一心同体」のような関係性を築きましょうということです。

石)なるほど。ニつ目の成長意欲も大事だと思います。

三木)みんなが今日よりも明日と言うように、成長に貪欲な組織風土を作っていきたいという想いが込められています。

石)誇りや愛社精神を持って仕事をしている社員は中小企業だとほとんどいない印象です。

三木)弊社は知名度がありません。企業のお手伝いをする、本来表に出ない会社なので当然だと思います。
ただ、無名であっても家族や友人など周りの人に自分が勤めている会社のことを自信を持って話して欲しいという想いを込めています。

石)経営理念は浸透していますか。

三木)社員に浸透させるのはこれからの課題だと思っています。

石)社風的に朝礼で理念詠唱という感じではなさそうだしね。



石)それでは次の質問です。
社員のモチベーションを上げるために取り組んでいることを教えてください。
職場が全国各地にありますが、全員で集まる機会は年に何回ありますか。

忘年会

三木)期首のキックオフミーティング、社員旅行、忘年会の3回ですね。

石)毎年社員旅行に行かれるのですか。

社員旅行

三木)はい。社員旅行を毎年するのは福島(‎株式会社アイアンドエフ‎: ‎代表取締役)のこだわりでもあります。
昨年は和歌山でキャンピングカーを借りてキャンプをしました。

石)普段集まれない社員が一堂に会する機会は大事だと思います。
他でいうと御社は忘年会の前に振り返りのような会議をしたりしていますよね。

三木)協力会社さんもお招きして総勢100名くらいで岡山で賑やかに開催しています。慰労会に近いですね。

石)業績の表彰式もするのかな。

三木)業績優秀者の表彰を今期から始めました。MVP 的な賞をみんなの前で表彰して金一封を渡しています。

石)それでは次の質問です。三木さんが尊敬されている人は誰ですか?

三木)ありきたりかもしれませんが、父はすごいなと思います。
私は二人兄弟ですが子供をちゃんと育てながら家族何不自由なく育ててくれたというところ。尊敬というより感謝の気持ちが強いですね。

石)どのようなお父さんですか。

三木)普段寡黙な父ですが、苦労も多かったと母から聞いています。
父は婿養子で元々は大手企業に勤めていましたが、転勤したらダメと義親に言われて転職しました。
地元の四国で展開している商社に中途入社して定年まで勤め上げました。
本当はもっとやりたいこともあったと思いますけど家族や子供のためにということで。

石)背中で語る。古き良きお父さんですね。三木さんも子供を持つ父として目指すところでしょうか。

三木)いま子供が3人います。子供達を後悔させない。産んでくれて良かったなと思ってもらえるような育て方をしたいなと思っています。

石)いい親父ですね。

三木)それが働くモチベーションになっています。

石)今後の目標についてお聞かせください。

三木)経営理念にもありましたが、会社を「社員が誇れる会社」にしていきたいです。

石)家族や友人に会社の話をする機会は少なくないと思います。

三木)新卒で入った年の年末に帰省して地元の友達に会うと、地元では有名な会社に入社している友人も多かったんです。

石)香川は優良な企業も多いですね。

三木)そこでお給料の話になり、聞いてみるとボーナスの額にすごく差があるし、1年目で車を買った友人もいました。
「お前東京で何してるの?」 って言われたときに、大した給料も貰ってないし、後ろめたい想いをしたのを今でも覚えています。
従業員にはそういう想いをしてほしくない。

石)「誇りを持った仕事」ができないと従業員も定着しませんよね。

三木)はい。入社したてのころは新築者向けの雑誌を作っていて、そこに広告を載せてくれる住宅関連の工事業者やインテリア業者さんをメインに営業をしていました。

石)そのようなお仕事もされていたのですね。

三木)そのときは独立起業した社長さんとの出会いが多かったんです。会社の規模で言うと超零細。
言葉使いは乱暴だし、無茶なことも言ってきますが話を聞いていると面白い。

石)人として魅力があるのでしょうね。

三木)はい。零細ではありますが 5~6人を雇って、自分の仕事に誇りを持っている。有名な大手企業で勤めるよりも大事な部分に気付かされた気がします。

石)時代の流れからしても今後より大事な要素になりそうですね。

三木)知名度はなくても、面白さと満足できる収入のある仕事をすることは可能です。給料をあげるには経営効率を上げて事業展開していかないとだめ。
単に会社の規模を大きくするということではなく、より効率良く稼ぐことが大事だと考えています。稼いだ分を従業員に還元することが会社として目指すべき方向かなと思っています。

石)社員満足度の高い会社にしたいということですね。



石)最後の質問です。三木さんにとって経営とは何ですか?

三木)もともと経営に興味があり、入社した時は30歳ぐらいで独立をするつもりでした。
弊社の社長も30歳の時に独立しています。

石)独立は大変だよね。雇用責任もあるし・・・。

三木)本当にその通りだと思います。従業員を雇う。そこには家族や関係する人がいて本当に責任が重い。
自分が好き勝手にやって、「はいダメでした」では済まされません。

石)それでもなぜ経営をしたいと思ったのですか?

三木)経営は人生を掛けるぐらい重みがあるものだと思ったからです。ここにチャレンジをしたいと。

石)うまくいかないことも多いと思います。

三木)人が思うように動かない、なかなか育たないとヤキモキすることもあります。

石)悩みはつきませんよね。

三木)はい。ひとつの課題が解決したら、ありがたいことにまた一つの課題が見つかります。
新たな課題に直前にしていることを成長の証と捉えて、それを地道に一歩ずつ乗り越えていく。それが経営のあるべき姿だと思います。

石)経営とは成長の場ということですね。

三木)そして大きな成果が出た時に一緒に喜びを分かち合える仲間がいる。それが経営の魅力であると考えています。

石)深いなー。インタビューは以上です。ありがとうございました。

三木)ありがとうございました!

聞き手 パワーザイム株式会社
代表取締役 石光仁

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