企業家の肖像

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"企業家の肖像"は弊社ビジネススクールやコンサルティングを通して出会った優れた企業経営者に、その経営哲学や生き方の本音をインタビュー形式でお届けする企画です。

ユーザーの声で進化するブラウザKinza など、コンシューマー向けソフトウェアとインターネットメディアの開発・提供を行うDayz株式会社の代表取締役社長・玉城 朝氏をお迎えしました。進歩がめまぐるしいIT業界で今後の課題と取り組みについて語っていただきました。

Days株式会社 代表取締役社長 玉城 朝氏

第24回 Dayz 株式会社 代表取締役社長 玉城 朝

〒103-0024
東京都中央区日本橋小舟町2-1 130ビル 4階
https://dayz.jp/

石)本日はよろしくお願いいたします!!

玉城)こちらこそよろしくお願いいたします!!

石)早速ですが、起業された理由は何ですか?

玉城)第二新卒として上京した際に何となく起業できたらいいな、と考えていました。その時はあまり深く考えていませんでしたが、人と機会に恵まれて起業に至りました。

石)第二新卒なんですね、最初から東京の会社ですか?

玉城)沖縄で大学卒業後にスクール運営事務に新卒で就職しましたが、適性がないと感じて一年で退職しました。
あてもなく東京へ出てその後、インターネット広告のスタートアップ企業に入社しました。

石)技術はそこで学んだんですか?

玉城)そうです。その会社が3~4年くらいで上場企業に買収されるまでご一緒できたのがキャリア形成になりました。

石)事業の特色を教えて下さい。

玉城)メインの事業としてコンシューマー向けソフトウェアとインターネットメディアの開発・提供を行っていて、誰もが使っている「ブラウザ」にフォーカスしています。
弊社では独自のブランドとして他のブラウザにはついてない機能を追加して提供しています。

石)ブラウザといえば、Google ChromeやInternet Explorerなどをイメージしますが。

玉城)そうです、弊社ではGoogle のChromeと同じソフトウェアを使用しています。
僕らの中ではブラウザは「みんなが使う文房具みたいなもの」だと思っています。皆さん、それぞれが使いやすいようにカスタマイズしたいという要望がある。
僕らはそのユーザーの声を実現し、カスタマイズした拡張機能をブラウザに追加して世に送り出します。

石)カスタマイズはユーザー毎に行うのですか?

玉城)ユーザー毎ではないのですが、使い勝手の良さにフォーカスしているので、実際、ユーザーの好みにより変わります。車で例えれば、「光岡自動車」のイメージです。

石)なるほど。光岡自動車のカスタム車のように、お客様の使いやすいように合わせるんですね。業務用のブラウザとしてカスタマイズされているのですか?

玉城)いいえ。基本的には一般消費者用で業務用ではないです。

石)一般向けでしたらPC用ではなく、スマートフォンのほうが良いと思うのですが。

玉城)最初にブラウザ事業で行くと決めたときに、スマートフォン用かPC用か悩みました。
スマートフォン用の場合、GoogleやAppleのマーケットでソフトウェアを配布することになるんですが、彼らの意向次第では配布できなくなるといったリスクもあるんです。

石)ええっ、そうなんですか!?

玉城)ええ、そうなんです。
本当は皆に「スマホファースト」と言われるんですけど、PC向けは自分たちで自由に配布できるのが強みなんです。どちらがビジネスとして生存性が高いかを考えたらPC向けを選びました。

石)なるほど・・・ユーザー数はわかりますか?

玉城)公表はしていませんが、統計はとっているのでわかります。
日本国内向けだけではなく海外版にローカライズして、英語圏のユーザーも確実に増えています。

石)利用した人の口コミで広がっているんでしょうか?

玉城)はい、ゆっくりですが。今は日本語圏で展開しているんですが、いろんな国の人が使ってくれています。
海外のユーザーは一度使って評価してくれたらずっと継続して使用してくれている感触があるので、いろんな言語に対応出来るようローカライズを進めたり、海外の人と遣り取りができるよう仕組みを作っていくのが会社として今後の課題です。

石)続いての質問です。企業理念、または経営で大切にしていることはありますか?

玉城)企業理念は、まだ揺らぎない言葉になっていませんが、「経営者としての原理原則」を自身の言葉で定める事ができました。
原理原則を外れない行動が大切だと考えています。

石)IT業界の現状と今後については、どのようにお考えですか?

玉城)これまではデジタル化が進むにつれてPCだけでなく、スマートフォンや街のディスプレイ広告など、スクリーンの数が爆発的に増えてきましたが、今後はAR(拡張現実)やVR(仮想現実)や立体ホログラムなど、色んな表現が増えていくと考えています。
それに伴いトレンドやコミュニケーションも変わっていくと考えています。また、デジタル化できない世界の価値が高まると考えています。

石)第四次産業革命のデジタル社会の話は我々にはまったく未知の世界です。先日もお台場で漫画のキャラクターのバーチャルユニットがライブを開催しているのを見かけました。リアルと虚像が垣根を越えてきている。映画のマトリックスのような方向に向かって行ってますね。

玉城)まさに、十数年前に映画やアニメで描かれた世界が次々と実現化されていってますね。

石)デジタル化できない昭和の価値と、最先端技術は併存する感じでしょうか。

玉城)はい、併存すると思います。絶対にデジタル化できないコンテンツは価格がどんどん上がってビジネスチャンスになるのではないかと思います。
逆に、デジタル化できるコンテンツはどんどん安くなると思います。

石)対人だからこそ価値があるサービスとか。
美しい風景なんかは映像でも綺麗ですが、その場所まで実際に行かないと感じられない光や温度がありますし、体験はデジタル化できませんね。

玉城)そのあたりの二極化がすすむと思います。
どっちにシフトするのか見えていれば会社としての生き残り方も見えてくると思います。

石)今後の経営戦略についてお聞かせ下さい。

玉城)現在の事業と並行して、デジタル・非デジタルを問わずに新規事業開発に取り組んでいきます。
既存事業で蓄えてきた内部留保を、いつでも複数の選択肢に再投資できるスタンスで戦略を立案したいと考えています。

石)一般的には現在の事業と関連のある事業を展開しますが割と無関連なのかな。

玉城)はい。今あるデジタルなどのリソースを事業アイデアに合わせなくてはいけないと考えていますが、それ以外でもビジネスチャンスになるのであれば、全ての選択肢を否定せずに自分の好きなものに投資するスタンスです。

石)なるほど、投資というのはわかります。今の時代で一番難しいのは人材かな。
新規事業の立ち上げといってもそこには競争が当然あるので、既存の社員では難しいじゃないですか。その事業に詳しい人を中心に体制を組めるかどうかですよね。



石)昨今は企業における人材教育の重要性が叫ばれていますが、御社の人材教育、育成に対する考え方と特色をお聞かせください。

玉城)人材教育、育成の観点が必要ないパートタイマーを採用する事に注力しています。中小企業では採用活動での勝率が高くなく、自社にあった採用は何かを考えていくと、弊社では自走性の高いパートタイマーの集団になる事が最適解と考えました。

石)これは面白いですね。今っぽい考え方ですね。

玉城)ここ数年悩んだところ、最終的に「週一日勤務の人材をたくさん集める」ということに集中しました。
フルタイムで納得できないで働いている人を入れるより、週一勤務で気持ちよく納得して働いてくれる人が5人のほうが価値は高いと思っています。

石)週一日でできる仕事ってあります?バックオフィス?経理とかですか?
誰がやってもできるようにマニュアル化するんですよね?

玉城)バックオフィスとかですね。他のものでも週一でできますよ。・・・マニュアル化は逆にしていないです。属人的にやっています。

石)なるほど。でも急遽パートを辞めざるを得なくなった場合、属人化した仕事を次の人に任せるのは難しくないですか?
誰がやってもできるようにマニュアル化してあればいいと思うんですが。パートは特にそうだと思います。

玉城)パートタイムとフルタイムだと、フルタイムスタッフが上位っていう考え方があると思いますが、僕はそうではない、という考え方です。

石)パートスタッフの質が高いんですね。職歴として経験値が高い方を中心に集めて構成しているという理解かな?じゃあ、コストも高いんだ。

玉城)時給単価でいえば僕らは時給二千円以上をベースにしていますので、普通のパートよりかは高いと思います。

石)そうですよね。その分、能力も高いことが職歴からわかるんですね。
パートスタッフはどうやって集めているのですか?

玉城)募集です。普通にリクルートページであったり。
週二、週三勤務の募集ってデザインナーやエンジニアでは沢山あるんですけど、週一勤務に絞ったところって殆どなくて。

石)週一日ってところに皆さん反応するんですか?

玉城)反応します。

石)勤務日はまとめてもいいのかな?例えば月末の5日間だけ、など。

玉城)それは人によりけりですね。今は業務が標準化されていないので、僕の判断で人ごとに合わせてポジションを作ることができるし、その人が働きたいように働けばいいっていうのが前提なので、人が来てから考えるってのが正直なところです。なのでリクルートページではパートタイムだけど、オープンポジションで募集をかけています。

石)オープンポジションってなんですか?

玉城)普通は何かのポジションに対して皆が応募をしてくるじゃないですか。管理職の募集ってあればそこに応募する。弊社ではその人がどんな職歴をもっているかは不問で、まず、応募してくださいと。その人が「何が得意なのか」「何がしたいのか」わからないじゃないですか。

石)大胆ですね。
じゃあ、ソフトウェアの会社だけど営業が得意です、というのもありですか?

玉城)ありがたいですね。僕らが持っていないリソースですし、あるものを僕らはどう調理するか、という話です。見てからの判断でお互い様です。

石)それは、めっちゃユニークですね。

玉城)自分がオーナーシップだからできる話で。まずは来てもらって、本当は何がしたいのか、その人がやりたいことは何か、それに対して僕らが投資できるか。

石)パートタイムさんの自己実現ができて、こちらもそれで事業が作れそうなら、やると。凄くニューヨーク的ですね、面白い。



石)社員のモチベーションを上げるために取り組まれていることがあれば教えてください。

玉城)職位・職能等に依らず、会社に関与するメンバー全員が事業開発に関与できるよう仕掛けづくりを進めています。
オペレータ的な業務だけではなく、経営課題の解決に一助頂く事で多能性を持つ人材になるんじゃないかと。

石)今のお話を聞くと、このこと自体がモチベーションを上げるんでしょうね。

玉城)上がると思います。

石)皆さんが事業開発に関与できるような、割とアグレッシブな方なんですね。

玉城)そうですね。

石)今後の目標、夢を教えて下さい。

玉城)個人的な将来の夢として、自分で道の駅をやれたら楽しいでしょうね。
道の駅を見て回るのが好きなんです。その地方の特産品とか道の駅だと絶対あるじゃないですか。

石)旅行した際に、その地方の農産物や特産品を見たら風情を感じる、ということですかね。

玉城)どっちかっていうと道の駅が目標地点で、周りの観光地は気にしてないんですよ。
北海道なら一日400キロくらい走って、道の駅だけをどんどん回る。

石)一日400キロはめちゃくちゃきついですね、ずっと乗りっぱなしですね!
・・・今までどれだけ回ったんですか。

玉城)たぶん47都道府県。片っ端から全部回ってます。

石)それは凄いな!

玉城)道の駅もちゃんと活性化されているところと活性化されていないところがあります。
商業施設としても興味がありますが、ビジネスとしては、こうやったら成立するんだろうなっていう。

石)道の駅をやるなら、場所は沖縄ですか?

玉城)どこでもいいです。面白い道の駅ってちゃんと人も集まってくるし、観光地としても成立していると思うんですよね。

石)尊敬する人はいますか?

玉城)難しい質問ですね。凄いなと思うのはソフトバンクの孫正義さんや日本電産の永守重信さんです。でも、模倣できるものでも目指すところでもないと思って。
あと、企業家で尊敬する人といえば糸井重里さんとか。

石)クリエーターの?

玉城)はい、糸井さん今は「株式会社ほぼ日」という上場企業の社長でもあって、彼がやっているインターネットコンテンツの会社は去年から上場したんですよ。
上場して制約がある中でも糸井さんがやりたい世界を自由に作って資本市場の世界に突撃していっているから、凄いと思います。

石)次の質問ですが、弊社の幹部研修についてのご感想をお願いします。

玉城)会社の構造をわかりやすく言語化しているところが素晴らしく思いました。

石)受けていただいたのは速習コースですね。ありがとうございます。

玉城)本当はうちのパートタイムのメンバーに受けさせたいと考えてます。

石)今、速習コースの動画版を撮影しているんですが、DVDが発売したらそれを利用したら良いかなと思います。

玉城)個人的には石先生の話を会って直接聞くのが面白いなと思います。

石)動画だと色んな事例を話すとまどろっこしくなってしまうので淡々と進めないといけないんですが、対面だと直接相手を見ながら話せるので。
この人ならこういう事例で話せばわかるかな、腑に落ちるかな、と。でも、東京から大阪まで来る時間も費用もかかりますからね。

玉城)自分が行けないとき、パートタイムのメンバーに代わりに行けば、と言ったら、「私ただのバックオフィス担当ですけど行ってもいいんですか!?」と言われました(笑)

石)先にDVDを観て、基礎知識をつけてから来たらわかりやすいと思います。

玉城)うちのメンバーは話を聞いたら頭に入りやすいと思っています。

石)玉城さんの組織は特徴があって、興味深いなぁ。



石)最後に、玉城さんにとって経営とは何ですか?

玉城)良い時と悪い時の局面において、何かが変わるような気がしていますが、「ゲーム」なんだと理解しています。

石)ゲーム感覚でやっている・・・わかります。環境に応じて戦略も変わるからゲームのルールも変えていかないといけない。

玉城)ルールを自分が作っていく側か、従う側なのか。
それを分解して全部分かった上でどう戦略戦術を考えるかっていうところでゲームなのかなって考えてます。

石)そういう側面もありますよね。
インタビューは以上です、本日はありがとうございました!

玉城)こちらこそ、ありがとうございました!

聞き手 パワーザイム株式会社
代表取締役 石光仁

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