企業家の肖像

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"企業家の肖像"は弊社ビジネススクールやコンサルティングを通して出会った優れた企業経営者に、その経営哲学や生き方の本音をインタビュー形式でお届けする企画です。

記念すべき第1回目は、和歌山市に本社を置き「無垢の家」「ライフスタイル提案」をメインコンセプトに、分譲住宅、注文住宅事業を展開する国土建設株式会社の瀧敏秀社長にお話しをお伺いしました。

第1回 国土建設株式会社 代表取締役 瀧 敏秀

〒640-8319
和歌山市手平4-6-70
http://www.kokudo-kensetsu.co.jp/

今の仕事を始められたきっかけは何ですか?(石)

「独立したい。自分の城を持ちたい。」という強い気持ちが子供の頃からありました。そして、その仕事は設計事務所をしたいと思っていました。大阪から和歌山に帰ってきて、分譲住宅事業の仕事を見た時に、非常にお金が必要な仕事であると感じました。経営する上では、設計力も大切ですが収益力も大切な仕事であると。そして、その収益力を高めるために、当時の自分にはない様々な能力や資格を持った人を雇うことで事業を拡大することを決意しました。ただ、40歳を過ぎた頃から、ただ人を使うだけでなく、仕事に必要な資格は、自分で積極的に取得するようにしてきました。お陰様で今は10数個の資格を持っています。

国土建設の事業の現状と現在までの実績、またこれからの事業の展望をお聞かせ下さい。(石)

当社の設立は昭和57年5月で、分譲住宅事業と注文住宅事業が柱です。社員数は私を含め現在45名です。また、設立から現在に至るまで約930戸の住宅を供給してきました。 今後力を入れていきたい事業は注文住宅事業ですね。少子化等の問題で、今後住宅の第一次取得者の減少が見込まれる状況を考えると、土地の仕入れや価格の変動といった外部要因に左右されない経営をすることは特に重要であると考えています。また、今後の新築住宅着工の大きな伸びが期待できない環境を考えると、顧客ニーズの観点からもリフォーム事業を強化していく必要を感じています。いずれにしても、土地に依存しない経営を目指しています。

瀧社長が考えている「理想の家」を教えてください。(石)

個人の財産であると同時に、地域の財産でもあると言うことを考えた家づくりですね。

それなら、家づくりと言うより街づくりになるのでしょうか(石)

街づくりもそうなんですが、そんな思いが強くなったきっかけは阪神大震災です。あれだけの多くの住宅が倒れていなければ、あれほどの多くの人命を失われずに済んだかもしれません。日本は地震大国なので、どうしようもない部分もありますが、あの時、個人の家がもっと丈夫であったら、被災者の方も、もっと早く生活を立て直すことが出来たのではないか、また、個人の家が倒れなければ公共インフラの復旧ももっと早く出来たのではないかと。ですから、当社の家づくりでは、「耐震性を高め免震技術を導入する」ことで、地域の財産である個人の財産を守るという思想があります。 そのためにも、私たちの家づくりは「無垢」にこだわっています。その理由は、目に優しい、五感に訴えるものが優しい、災害実験の結果コンクリートや鉄筋住宅よりも人命の生存率が高い、木は鉄よりも火に強いなどということがあります。鉄筋と同じ強度比で引っ張りや圧縮、耐熱性を比較した場合、木の方が強いという事実がデータで証明されています。人命を守るためにも、これからも「無垢」の家のすばらしさを訴えていきたいと思います。また、間取りや外観についても、お客様のライフスタイル応じこだわりをもってお客様に提案しています。

和歌山経済の低迷が言われて久しい状況ですが、今後の住宅市場としての和歌山の現状についてどのようにお考えですか?(石)

先日の報道において、全国の都道府県の中で2020年における潜在成長率が唯一マイナスになるのが和歌山県であるとのデータが発表されました。非常にショックなことですが、和歌山の現実として受け止めなければなりません。ですから、現在、大阪の堺市にも拠点を設けて和歌山以外での営業を強化しています。

和歌山には豊富な森林資源がありますが、これは大きなプラスではないのでしょうか?(石)

当然、杉、檜を中心とした森林が多くありますが、これには材木を切る周期の問題があります。直近の材木の切り出しは第二次世界大戦前後の時期です。材木として使える状態まで育つには、約50年から80年の歳月が必要になります。そう考えると、ようやく最近使えるような木になってきたところです。そこで、家具事業には力を入れて行く計画です。貼り合わせの修正材ではない、天然の無垢材を使った一枚もののテーブルなど、お客様だけのオンリーワンの家具を提供していきたいと思っています。

企業理念、経営で大切にしていること、または座右の銘があれば教えてください(石)

座右の銘は、江戸時代の陽明学者である熊沢蕃山の“憂きことのなおこの上につもれかし限りある身の力試さん”です。

随分難しい言葉ですね。(石)

憂きことのなおこの上につもれかしとは、自分に艱難辛苦が押し寄せることを歓迎しているわけです。何でも来いと。これはなかなか言えることではありません。そして、その上で、限りある身の力試さんと続くのですから、そのスケールの大きさには圧倒されます。このように人生を全うしたなら素晴らしい境地に達することでしょう。我々、現代人は自分の限界まで突き進むことを忘れてしまったかのようです。限界に至る前に臆病になっているように思われます。後のことを考え過ぎるため、完全投入しなければならない瞬間にさえ、完全燃焼できないことが多いと思います。つい、ペース配分や効率性を考えてしまい、今この瞬間に徹し切れません。しかし、蕃山の心の姿勢は、限界状況の先にいる自分というものを意識しています。その場における自分をむしろ、愉しもうとすらしているように感じられます。なんという余裕、自信でしょう。我々においても、自分とは何者かを真摯に見つめようとするとき、限界状況の先にある自分の姿を思い浮かべないわけにはいきません。そして、気づかされます。人間的成長というものは、このような道程を経て初めて叶えられるものであるということを。蕃山は、そう言っているように思えてなりません。

人材の成長が企業を成長させるという考え方についてはどのようにお考えですか。(石)

理想を言えば、職務を明確にして、自分が今どの位置に居るのか、自分の成長の度合を楽しみながら理解できるような社員が育つ人材育成を目指したいと考えています。

瀧社長が国土建設の社員に求める仕事をする上での心構えなどはあるのでしょうか?(石)

常々、整理整頓、見えない所をきれいにするという心構えを持って仕事に励んで欲しいと思っています。また、私は仕事を通じた人格形成として、人に好かれる人づくりを心がけています。

今後、社員のために経営者として実施していこうと思っていることがあればお聞かせ下さい。(石)

やはり、人に好かれる人づくりのための人格形成を目的とした人材教育ですね。目に見えないところを整理整頓することから始まるということをわかった人間が、一人でも多く国土建設から育って欲しいと願っています。

尊敬する人物がいれば教えて下さい。(石)

石光仁先生です。(笑)

冗談は結構です。(笑) (石)

冗談ではなく、私は経営者として今までに何人ものコンサルタントとお会いしてきました。しかし、残念なことにその大部分は、国土建設のことを深く理解することなく、自分自身の成功体験に基づいたやり方や定型的なシステムを導入することに熱心な人達でした。「成果が出ないのはあなたが悪いから」といった調子で終始自分のペースで仕事をし、結局ほとんど成果のないまま、こちらが振り回わされて終わるという状況でした。そんなこともあり、今は石先生を含め、人間的にも尊敬でき、国土建設のことを深く理解した上で助言、指導していただけるコンサルタントの先生とのみお付き合いしています。 歴史上の人物では、先ほどお話しした熊沢蕃山と伊達正宗です。

弊社パワーザイムのスクールに参加した感想や要望があればお聞かせ下さい。(石)

今まで経営者として頭ではわかっていたことが、改めて社内に対する教育プログラムとしてビジュアル的に明確になったことは私としては大きな成果です。あまり社員数が多くない時には、日々同じことをその場その場で社員に言ってきましたが、ある程度の社員数になってくると、組織としてビジュアル化、デジタル化された教育プログラムが必要になってきます。そのことを、今回のスクールに参加して再認識したと同時に、私が頭の中で考えていた教育プログラムとも見事に一致したことは本当にありがたいことであると思っています。それとこれは希望ですが、私がスクールで学習したことを社内に効果的に浸透させるお手伝いをしていただければ尚ありがたいと思っています。

瀧社長の今後の夢や目標があればお聞かせ下さい。(石)

まず会社のことになりますが、私から国土建設が二代目、三代目の経営者に成長、発展した姿で末長く引き継がれていく姿を見ることが目標です。

そのためには、将来の国土建設を引き継ぐ経営者の育成は重要ですね。(石)

その通りです。あと個人的な夢としては、今までお世話なったこの住宅業界に対し、何らかの形で恩返しと支援をすることです。たとえ無給でもです。そのためには、今もっと頑張って収益を上げなければなりませんが。(笑)

最後に、瀧社長にとって経営とは一言で言って何でしょうか?(石)

昔からよく言われます、売り手、買い手、作り手の皆が良い思いをする「三方良し」という精神もあるでしょうが、私は「どれだけ人を育てられたのか」、また、大それた言い方ですが「地域にどれだけ役立ったのか」ということが経営の最終的な使命であると思っています。

貴重なお話しありがとうございました。(石)

聞き手 パワーザイム株式会社
代表取締役 石光仁

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