企業家の肖像

HOME > 企業家の肖像 > 第4回 神戸エムケイ株式会社 代表取締役社長 青木 義明

"企業家の肖像"は弊社ビジネススクールやコンサルティングを通して出会った優れた企業経営者に、その経営哲学や生き方の本音をインタビュー形式でお届けする企画です。

第4回目は、タクシー業界自由化の若き闘士 「神戸エムケイ株式会社」の代表取締役社長 青木義明氏にインタビューしました。
ご長兄は京都エリア、ご次兄は東京エリア、そして氏は名古屋、大阪、神戸とグループで営業エリアを拡大している成長企業です。 タクシーは、単なる移動手段ではなく「快適」を提供することが社会的ミッションであるという青木社長の熱いトークを今日は伺いたいと思います。

第4回 神戸エムケイ株式会社 代表取締役社長 青木 義明

〒650-0045
神戸市中央区港島8丁目11番2
http://www.mk-group.co.jp/kobe/index.html

石)青木社長が神戸エムケイ(株)を設立されたのはいつですか?

青木) 平成14年です。

石) 元々はお父様がエムケイタクシーを経営されていたわけですが、いつ頃からタクシー事業を引き継ごうと思われましたか?厳密に言うと、お父様は神戸での経営はされていないですよね。

青木) ええ、していません。

石) そういう意味ではむしろ、新規開業という感覚でしょうか?それとも継いだという感覚でしょうか?

青木) 感覚は… “継いだ”ということですね。

石)継ごうと思われたきっかけは何でしょうか?

青木) 他にしたいと思う仕事がなかったからです。 正直に申しますと、小さい時から親の商売を見ていますので、どこかに勤めてサラリーマンになるという発想がなかったからかもしれません。

石) 学生時代から、自分は継ぐのだと思っておられましたか?

青木) いえ、意識しませんでした。

石) 自然すぎて?

青木) そうですね。学生時代はスポーツをしたり遊んでばかりで(笑)、継ごうと思うきっかけなどなかったと思います。自然体で、エムケイで仕事をすることになるんだろうなあと感じていました。

石)今、エムケイタクシーは業界で有名な会社ですが、神戸エムケイ(株)&大阪エムケイ(株)で、特に事業の上で大切にしておられることは何ですか?

青木) これはいつも言っていることなのですが、『3つの満足』ですね。
ひとつは『お客様の満足』。その為に“安全・快適な車”を提供します。
2つ目は『従業員の満足』。安全快適な車を提供することで、お客さまにエムケイを選んでいただく。それにより売上が上がり、給与を高めていくことができる、ということです。
3つ目は『会社の満足』。会社として適正な利益を上げていく、ということですね。

石) グループとしては京都エムケイ、東京エムケイなどありますが、グループ間の関係はどのようなものでしょうか?同じ理念を目指しておられるのですか?

青木) 基本は同じです。創業者である父の理念の基に進めています。

石) お父様の考え方を次の世代の方がそれぞれ引き継いで、エリアを広げていっている、ということでしょうか?

青木) はいそうです。

石)京都からスタートされて、神戸、大阪、名古屋、東京と、現在次々に拠点を展開しておられますが、今後の事業展開の方向性といいますか、エリアの拡大ということについてはどこまで考えておられますか?

青木) 確定している次のエリアは福岡です。この年末~年始には出店します。実はもう30人ほど採用していまして、現在関西で研修をしています。

石) それでは西日本の拠点として、大きなところは押さえきったということですね。

青木) そうですね。
今後はタクシーの台数や規模など、その拠点をもっと大きくしたいと考えています。
そして、各拠点の中にサテライトのようなものを作っていきたいです。できれば政令指定都市ごとに5地点くらいずつ、そしてシェア20%くらい取りたいですね。

石) 各拠点の中で、タクシー事業だけではなく、商品の多様化としていろいろな事業を進めておられると思いますが、例えばどのようなことをしていらっしゃいますか?

青木) ハイヤー、ドライバーの派遣、観光バス、ガソリンスタンドなどです。

石)今後の経営戦略についておききしたいのですが…この不況で消費者の財布のヒモも固くなっているようですが、業界として一台当たりの売上に影響は出ていますか?

青木) まだ今はそんなに影響は出ていません。バブル崩壊以降と比べてですが。

石) 東京ではタクシー料金が上がって、稼働率が落ちているようですが?

青木) ええ。売上は下がりました。10%くらいお客様の数が減っています。

石) 10%ですか。

青木) ええ。ですから今、タクシー料金を上げるというのは暴挙ですね。
資源(石油)の調達コストが上がっていますから、GS業界はどうしようもないのですが。
4月の暫定税率問題がありましたが、5月に入って15%も販売量が落ちているんです。業界全体で、です。一時的にですが、お客様が120~130円のガソリン価格を経験した後、160円以上になった。ガソリンは燃料ですから、使った分を購入するはずですがそれでも15%も落ちています。これがいわゆるスタグフレーションの中で非常に問題です。物価は上がり、消費はどんどん減っていく。耐えられるのであれば、ここはやはり企業の努力で、今は徹底的に耐えていかないといけません。消費者のマインドが冷えていますし、消費行動が落ちていっているわけですから、そこに料金値上げをしたら輪をかけて消費は落ちていってしまいます。

石) 東京の初乗り運賃値上げは今回のガソリン値上げ前の話ですよね。

青木) ええそうです。

石) ガソリンが値上げされたが価格転嫁ができない。
ただ、どこかで吸収していかないと企業の利益が食われてしまう。 ―そうすると企業は合理化努力をしないといけませんが、例えばどのような取り組みをされていますか?

青木) 今のところは管理職・幹部の人件費を圧縮したり、交際費や光熱費などで無駄なコストを使わないようにしています。
あとは以前から行っていることなのですが、エコ運転を心がけています。

石) そうすると、タクシー1台当たりで稼げるお金というのはどうしても小さくなってしまいますね。
全体で稼がないといけない、とすると営業拠点を増やしていくということになると思うのですが…
私はエムケイタクシーのファンですから新地に行った時は必ずエムケイタクシーに乗って帰りますが(笑)、このファンをどうやって増やしていくのか、案外わかっていない方が多いです。
大阪では三菱タクシーさんの台数が多いようですが、料金は同じくらいだとしても快適性という点ではエムケイさんが群を抜いていると感じています。この認知度ですが、“エムケイは快適に帰れますよ”というところを知らない方がまだたくさんいると思うのです。
そこを知っていただくための取り組みは何かされていますか?

青木)していません。
ご利用いただいて、触れていただいて、そして口コミしていただく。これだけですね。
ですからご乗車いただいた時にいかに感動を与えられるか、がとても大事です。
料金についてはもちろんですが、綺麗でグレードの高い車を使っている、接客として気持ちの良い挨拶をして安全運転をする、乗り心地のいい運転を追求して良いタクシーだとお客様に認知していただきたいです。
そうして、口コミが広がればいいですね。

石) お客様に営業マンになっていただくということですね。

青木) その通りです。

石)そうしますとエムケイの商品というのは人が中心、すなわちドライバーが中心となりますが、ドライバー教育におけるエムケイさんでの仕組み、人材育成の方法をおきかせいただけますか。

青木) それはスパルタ式新入社員教育です。
エムケイでは基本的に経験のある方は採用しません。
なぜなら今までのスタイルがなかなか抜けないからです。いいスタイルだったら良いのですが、“客を拾った”とか“乗せてやっている”という感覚が癖や習慣のようになってしまっています。
しかし、経験のない方に旅客運送事業というのはこういうものだということを教育すると、比較的すっとなじんでくれます。
エムケイ流の考え方、交通産業ではなく交通“サービス”産業だということを未経験の方はすぐに受け入れて、その通りに行動してくれるのです。

石) わかりました。
受け入れやすいということで未経験の方を採用されているわけですね。
ただ、大阪で私が利用する時に感じることなのですが、地理がよくわかっていないドライバーが大変多いようなのです。
これに関してはどのようなトレーニングをなさっていますか?テストなどを行うのですか?

青木) 第三者機関ですが、大阪タクシーセンターさんで地理試験をしています。
それから入社して、教育期間中に道の説明などをします。

石) 教育期間はどのくらいですか?

青木) 2週間です。
しかし現実には、“地理の知識”ということにはあまり比重を置いていません。
カーナビなどの機械化である程度カバーできますし。
それよりも、お客様がどういうことを望んでいるかが大切です。
“道を知っている”というのは当たり前ですが、まず何よりも安全運転、そして挨拶・掃除、この3つに重点をおいています。

石) お客様によっては『急いでいるから飛ばしてくれ』ということもありますよね。そんな時はどうされるのですか?

青木) 基本的にはお断りします。
“安全第一なので、法律を違反してまでお乗せできません”とお答えするようにしています。

石)青木社長が尊敬されている方、または座右の銘などあれば教えていただけますか?

青木) 尊敬しているのはやはり創業者である父ですね。
特に“質素で勤勉”な所ですが、なかなか二代目は真似できません(笑)。
まず一所懸命働くということ ―― 一般社員より朝早くから来て夜遅くまで勤勉にがんばる所を尊敬しています。

石) 青木社長は何時頃出勤されるのですか?

青木) 基本的には7時前には来ています。そして、退社は20時~21時位です。

石) ハードワーカーですね。

青木) いえ、それほどでもありません。 セブンイレブン(7時~23時)と呼ばれているカルロス・ゴーンさんに比べれば(笑)。
次に父の質素という点についてですが、父は無駄遣いをしませんし、格好をつけたりもしないのです。
こういう所は本当に好きですし、尊敬しています。
いい服を着ていい車に乗っていい所へ旅行に行って、いい物を食べて、というのは仕事を本当に勤勉にやっていたら考える暇がないと思います。

石) そうですね。事業というのはそうやって“自分を捨てて”育てていくものですね。

青木) ええ。それに勤勉にやっていけば社会貢献にもつながります。
もう一人尊敬している人がいるのですが、それは脳外科医の福島孝徳先生です。
テレビ番組などでもよく取り上げられていますが、年間の脳腫瘍手術数が400件を超えるというすごい方です。
私利私欲を捨て、勤勉に人のために働く=命を救うという姿勢が本当にすばらしいと思います

石)最後の質問ですが、青木社長にとって経営とは何か、一言で表現していただけますか。プロの経営者とは何でしょうか?

青木) 消費者に喜んでいただける、そして従業員にも喜んでもらえる、…そのような会社を作り上げていくことだと思います。

石) 周りの人皆に喜んでいただくということですね。

青木) そうです。そうすれば自ずと会社も発展していくのだと思います。

石) 同感です。

本日は貴重なお話誠にありがとうございました。

聞き手 パワーザイム株式会社
代表取締役 石光仁

一覧へ戻る

ページの先頭へ戻る