企業家の肖像

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"企業家の肖像"は弊社ビジネススクールやコンサルティングを通して出会った優れた企業経営者に、その経営哲学や生き方の本音をインタビュー形式でお届けする企画です。

企業家の肖像も好評につき、第5回目を迎えるにいたりました。
今回は、大阪の北河内で総合建設事業を営まれている「株式会社前田組」代表取締役社長 前田浩輝氏に経営についてのお話を伺いました。
前田社長は、ご自身の事業のテーマをバリューアップ事業、すなわち、既存建物の若返りをお手伝いすることとされています。
非常に示唆深いお話しですので、ぜひお読みください。

第5回 株式会社前田組 代表取締役社長 前田 浩輝

〒572-8505
大阪府寝屋川市大成町1番1号
http://www.maedagumi.co.jp/

石)前田社長は4代目ですね。事業を引き継ぐということは、かなり重いことだと思うのですが、事業を引き継ごうと決意されたきっかけはありますか。

前田)きっかけですか…?

石)最近は、親の会社を継ぎたくないという人からの相談を受けることが多いんです。親の苦労を見てきているので継ぎたくはないが、資産には関心がある。配当もほしい。(笑)

前田)(笑)
私が二十歳の時に父が亡くなりましたので、私は、最初から5年の約束で奥村組という会社に修行にでました。そして、約束通り5年後に戻ったのですが、その時には、"いずれは継ぐ"という覚悟を決めていました。

石)それは、子供の頃から継ぐのが当たり前という感じだったのですか。

前田)いえ、意識していませんでした。

石)継ぎたくないと思ったことはありませんか。このまま奥村組で勤め続けたいとは思われませんでしたか。

前田)それは、ありません。建築の分野に進むと決めた後は、いずれは継がないといけないという思いがありました。12年前に戻った時、すでに建設業の厳しい先行きが見えていましたので、継ぐタイミングとしては覚悟がいりましたが…

石)ほんとうにしんどい時でしたね。

前田)建設投資が一貫して減り続けていましたから。
継いだのは10年前、31歳の時ですが、ベテランの経営陣に支えられ、就任した直後から、人事をはじめとして思い切った改革を行ってきました。

石)そうですか。
"これは、きびしいぞ"という環境の中で、かなりの決断をして引き受けられたのですね。

前田)そうですね。

石)(株)前田組の現在までの経緯と今後の展望をお聞きしたいのですが、設立して何年目ですか。

前田)設立50年、創業74年です。

石)老舗ですね。

前田)元々は、官庁土木100%でスタートしましたが、オイルショックの頃から建築に注力し、現在はほぼ90%近くを建築が占めていて、官庁の仕事はゼロに近くなっています。オイルショックの頃は、官庁土木をやりながら土地活用もするという中途半端な戦略になっていましたが、10年前に私が社長に就任してからは、官庁に頼らないようにしようと土地活用や企業開拓をし、企業の得意先を増やしてきました。

石)建設事業部でやっておられる事ですね。

前田)ええ。現在は、工場のリフォームなど企業の仕事が伸びてきて、官庁のマイナスをカバーしています。

石)(株)前田組の今後の展望、地場のゼネコンとして目指すべき道をおしえてください。

前田)今の資材の高騰がいつまで続くかわかりませんが、新築の需要に依存はできません。
ですから、事業内容の内、改修工事の分野を伸ばしていきたいと思っています。例えば居宅でしたらリフォーム、工場ならリニューアル、マンションならリノベーションなどです。そして、建物のバリューアップを企業のコンセプトにして、各事業部でさらにシャープなコンセプトをつくっていくことを考えています。

石)日本も老大国になり建物も年をとってきていますので、居住系非居住系を問わず、すべての建物を若返らせていく - そういう事業に活路があるというわけですね。

前田)はい。社会的なストックは十分にありますから、それらをバリューアップさせることで地域の発展に貢献していきたいと考えています。

石)今、非常に鉄が高く、建築物資材が高騰しています。20年前のバブル不況はバランスシート不況といわれ、不動産は下落しても銀行借入金は残り、債務超過会社が増えました。しかし、現在は、固定費は変らないのに限界利益が下がり、 固定費と限界利益のバランスがくずれています。 これを損益計算書不況と呼び、㈱前田組も例外ではないと思いますが、この不況に対抗する為、価格転嫁、資材費をどうやって抑えていくか等、何か打つ手があれば教えて下さい。

前田)難しい問題ですね。
原価低減の活動は常に行っています。物件ごとに関係者が集まり、いろんな方策を考えて予算に合うように低減を行っていますが、資材の高騰には、追いつきません。ですが、すでにある躯体を活かしていくということであれば鉄をつかいませんので、そういった事業に活路があると思います。

石)新築よりもリフォーム、バリューアップ事業 - 今の環境ならば、戦略としてその方が良いということですね。

前田)そうです。

石)経営理念で特に重要視していること、座右の銘があればおしえてください。

前田)ありきたりですが、『顧客満足』『顧客第一主義』です。
また、『顧客満足』実現の為に必要な『従業員満足』の実現を中期計画のテーマとして、社内コミュニケーションの改善、労働環境の改善に取り組んでいます。
具体的には、改善提案制度を設けて、どんな提案でもいいのでひとり1ヶ月に1件は提案することとしています。
その意見を「経営改善委員会」で検討して、即改善につなげていくことを行っています。
また、全社員参加の焼肉大会、旅行、社内コンペ等を行い、コミュニケーションの機会を増やしています。

石)なるほど。社内の活性化に積極的に取り組んでおられるのですね。

石)経営者として尊敬する人は、どなたかおられますか。

前田)京セラ株式会社 創業者の稲盛和夫氏です。

石)どういうところがですか?

前田)理念の共有、徹底、ベクトル合わせだけでなく、社内コミュニケーションも徹底されているところです。

石)前田社長が求める社員の心構えとは、どのようなものですか。

前田)誠実さ、真摯さですね。
これらは合格点に達していますが、「がむしゃらさ」「貪欲さ」がまだまだ不足しています。

石)野性味のようなものですか。

前田)そうです。そのあたりをこれから求めていきたいと思います。

石)そういう「燃える集団」になる仕掛けや仕組みで現在、何かやっておられることがあれば教えて下さい。

前田)それは、これからの課題ですね。
失敗を恐れすぎて安全側の発想になってしまっている。
失敗をしてもいいので、チャレンジしていく仕掛けや仕組みを考えたいと思っています。

石)弊社の幹部研修について、良い点、悪い点をお聞かせください。特に改善すべき点がありましたらお願いします。

前田)内容的には、大変良かったと思います。
今までこういう機会がありませんでしたから、経営幹部・若手幹部にも良い刺激になったと思います。
研修の内容や成果を踏まえて、今年4月から事業部制に移行しました。今のところ良い雰囲気で、各事業部でまとまりつつあります。

石)管理会計では、固定費生産性指標を活用していただいているのですね。

前田)はい。それを一番重要な指標にしています。

石)最後の質問ですが、前田社長にとって経営とは何か、一言で表現していただけますか。

前田)従業員を幸せにすることですね。

本日は貴重なお話誠にありがとうございました。

聞き手 パワーザイム株式会社
代表取締役 石光仁

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