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"企業家の肖像"は弊社ビジネススクールやコンサルティングを通して出会った優れた企業経営者に、その経営哲学や生き方の本音をインタビュー形式でお届けする企画です。

今回は、幼児教育のパイオニア「株式会社七田チャイルドアカデミー」代表取締役社長の藤山守重氏の登場です。
藤山社長の明るく、楽しく、そして力強いお話しが伺えました。
日本だけでなく、世界の事も考えられる視野の広い子供を育てたいという理想主義者ですけれども、 それと同時に地に足を付けた現実主義者でもあります。
では、藤山社長の含蓄あるお話をしっかり味わってください。

第6回 株式会社七田チャイルドアカデミー 代表取締役社長 藤山 守重

〒543-0053
大阪市天王寺区北河堀町3-15  S.C.A本社ビル
http://www.shichida.ne.jp/

石)七田チャイルドアカデミーと言えば、幼児教育の草分け的存在であり、現在でもトップ企業ですね。今の仕事を始められたきっかけを伺いたいのですが。

藤山)私は二十歳の頃から物販営業の仕事をし、二十八歳の時には独立して健康関連商品の販売を始めました。
その後、英語のビデオ教材を販売する会社の役員をしていた時、七田氏がご自身の事業の教材として商品を購入されたんです。

石)それが七田チャイルドアカデミー校長 七田眞氏との出会いですか。

藤山)はい。
20年程前に15万円もするビデオ教材を一度に50セットも購入されたので、こんなに高い商品を買うのはいったいどういう人かと興味を持ちました。
そこで、「奇跡の幼児英語教育」という七田氏の著書を読み、『すごい』と直感したんです。
『著名で権威のある先生に推薦してもらえば、高額な商品も売れるだろう』と思い、最初はビジネスになるという欲から七田氏に講演を依頼しました。
そして、昭和62年3月から約半年間、講演会の場で商品を薦めてもらうという事を続けましたが、全く売れませんでした。
しかし、七田氏の教育理論はすばらしく、私が教材販売に携わりながら学んだ教育理論とすべて符合することから、幼児教室事業を始めることを七田氏に提案しました。フランチャイズ制で、商品が売れなくても生徒が集まれば毎月ロイヤリティが入ってくる仕組みを作り、それを日本での全国展開に留めることなく世界にも広げようと考えました。

石)なるほど。物販から始められて思惑通りにはいかなかったので、 教室事業へとシフトされていったのですね。
現在の教室事業のサービス内容や特色を伺いたいのですが、まず、七田教育とは何かを教えてください。

藤山)それは、人間を育てるということです。

石)対象は幼児ですね。幼児に対して何を教えていくのですか。

藤山)人間を育てる為の土台、幹。それらを幼児期に育てます。
細かく言えば、理性教育と感性教育を通じて土台作りをしていくということです。

石)七田チャイルドアカデミーと言えば、右脳教育と私たちは認識しています。
七田教育とは感性教育を中心とし、感度の高い子供達を育てていくということですか。

藤山)感性の基本は自分を愛する心と他人を愛する心です。
そのベースは愛であり、感性の能力を育てないとコミュニケーション能力、 相手の立場が分かるという能力は育ちません。
しかし、言葉や情報もしっかりと教えていかないといけない。
右脳と左脳をバランス良く育てていくことが必要です。

石)学校に進学すれば理性教育を受けます。
今の学校教育では感性を学ぶ道徳の時間が少ないですね。七田教育では、具体的にどのような方法で感性を研いていくのですか。

藤山)人間の賢さは情報量の多さだと思います。
言葉すなわち語彙がどれだけ入力されているかが重要ですから、その言葉と映像の両方を五感を使って入れていくんです。

石)五感とは、目、耳、鼻、舌、触覚ですね。

藤山)多種多様の情報をいかに多く持っているか。
そして、その量が質に転換する為、情報量が多いほど質の良い情報を引き出すことができます。
学力は情報量の多さです。

石)情報量が多いと考える材料が多い為、思考力も養われるということですね。
目から情報を手に入れるということでしたら、七田教育を受けた子供は目が良いのですか。

藤山)要するに視覚と聴覚が優れ、外からの情報に敏感になるということです。
特に情報の80%は目から入ってきます。目は脳の一部ですから、脳が見ているのと同じです。

石)そうして多くの情報を得た子供達は、その成果として、具体的にどのように変わっていくのですか。

藤山)それが、想像力、思考力の基になります。

石)たとえば、学習塾なら偏差値というものがありますが、想像力や思考力はどのように表すのですか。

藤山)具体的には、想像力を絵や音楽に表す。豊かな語彙を作文などで表す。
絶対音感が身につく。見たものを一瞬で覚える能力が身につく、などです。

石)それは、視覚、聴覚、語彙力が飛躍的に伸びるということですね。
そういう教育は子供の優しさを育てることになりますか。

藤山)もちろんです。感性教育は心を育てることです。

石)五感と心は繋がりますか。単純に目が良い、耳が良いということになりませんか。

藤山)心を育てるには親と子の信頼関係が不可欠です。
幼児期にどういう能力や素質があるか、また、どのような子供に育てていくかが明確になっていないと、親は子育ての意味付けができなくなります。
親と子が良い信頼関係を築く為には、どのような子供に育てたいのか、親がしっかりとした目標を持つことが必要です。

石)教室に通うのは1週間に1回ですね。
他は親が教育するということは、母親教育が重要になると思うのですが、子供達の視覚、聴覚訓練と合わせて母親の子育て指導も行うのですか。

藤山)はい。躾、食事の指導、言葉掛けの指導を行います。

石)最近、いわゆるモンスターペアレントなどが増えているようですが、母親像は変わってきていますか。
わがままな親が増えているとも聞きますが。

藤山)はい、増えています。
何故かと言うと、その母親が親からきちんとした指導を受けていないからです。
大切なことは、子供の頃から社会的なルールをしっかりと教えていくことです。

石)そういう母親に対する指導も可能ですか。

藤山)可能です。
むしろ、母親の指導に力を入れないと良い子供は育ちません。

石)そういった社会変化の中で、ライバル企業たとえば、大手の予備校や進学塾が入学対象とする年齢を下げてきています。
右脳とセットで科目を設定しているところもありますが、何か対策を取られていますか。

藤山)確かに有名な進学塾が中学受験のために幼稚園児を募集しています。
それは、少子化の問題でそうしないと経営が成り立たたないからです。
しかし、早く入学させても幼児や小学校低学年を中学受験に追い立てるのは問題がありますから、カウンセリングなどを組み込んでいます。

石)いわゆる「商売」としてやっているだけで、しっかりとした「サービス商品」ではない。ということですね。

藤山)そういうものに惑わされないようお母さん方には、よく話をしています。
中には、「小学校の高学年になったらもう入学できない」など母親を脅すようなことを言うところもある。
教育の本質、目的は何なのか。
ほんとうに子供が喜んでその学習塾に行くのか。
それをきちんと見極めるように話しています。
私は子供を学習塾に行かせることに反対はしません。しっかりした目的を持って行くなら良いと思います。
しかし、最近の調査では、有名な中・高一貫教育学校の生徒の半分が落ちこぼれています。
入学後、子供が燃え尽き症候群になってしまっている。それは、良い中学に入学することを目的とした勉強をさせた結果です。
どのような教育が必要か、原点に返ってよく考えないと自己中心的で、問題を起こしやすい子供になります。

石)今、いろいろと事件が起こり、家庭内教育が貧しいと言われている中で、幼児教育の果たす役割は非常に大きいと思います。
七田チャイルドアカデミーには幼児教育を広げていく責任があると思いますが、そういう意味で、業界のリーダーとして七田のビジョン、 業界の展望をお聞かせください。

藤山)それは、教育方法そのものを進化させることです。
そして、それを知らしめていくことが大切だと考えています。

石)日本の社会は左脳教育に傾いていますので、小学校低学年から学習塾に通う子供も増えていると思いますが、学習塾との提携も意義が深いのではないでしょうか。

藤山)はい。これからは、垣根をはずして理念が合うところと業務提携をすることも選択肢のひとつです。
そして、垣根を越えて「その人の人生を応援する教育」を行っていくと新しい世界が見えてくると考えています。

石)七田チャイルドアカデミーの企業理念はどういうものですか。

藤山)子供の夢を応援することです。
そして、志の高い子供達を育てる。これは社会貢献です。

石)子供達を育成することによって、社会作り、国作りを行っていく。
それが七田の使命と言ってよろしいですか。

藤山)そうです。
世界規模、地球・宇宙規模で物事が考えられるように「教育力」を上げることです。

石)世界に七田思想を広めていきたいというお話でしたが、具体的に海外拠点の状況はどうなっているのですか。

藤山)現在、海外の拠点は、シンガポール、インドネシア、マレーシア、中国、台湾、韓国、アメリカの7カ国で、日本より海外の方が広がりは早いと思います。
特にシンガポールは教育熱が高く、国を挙げて七田教育、すなわち人を育てる教育に取り組んでいます。

石)そういった事業展開を行っていく為の企業内の人材教育、社員育成に対する取り組みについて、現状をお聞かせください。

藤山)ひとりひとりが社会的な使命感を持つ為の研修制度を設けています。
特に営業・企画担当や講師には、私が塾長を務める「能力全開塾」において、自分自身が何の為にこの仕事をしているか、仕事をする意義・目的を理解し、ベクトルを合わすということを行っています。

石)なるほど。要となる営業、講師陣のベクトル合わせ、七田の考え方を共有するということに重点をおいておられるのですね。現在社員は何名ですか。

藤山)150名です。
社員の意識・技術を向上させることにより、社員力を高める。その為には、人間力を高めていくことが必要です。人間が行う教育ですから。

石)会社は社員の集まりであり、社員の行動によって結果が決まります。
すばらしい志を持つ子供達を育てていくことが自分たちの仕事だということがわからないとパワーが出ないと思いますが、最近の若年層社員はどうですか。

藤山)幸いに、当社を希望する方は七田式教育そのものに惚れて入ってくる方が多いですから、ベクトルは合わせやすい。意識向上の教育も容易です。

石)現在、七田チャイルドアカデミーの生徒は何名ですか。

藤山)約3万8000人です。
設立から累計すると25万人になります。
1期生が社会人になる年齢で、さまざまなところで活躍しています。

石)25万人の子供達を育てたという事は大きな社会貢献ですね。
行政、文科省の認知度及び支援についてはどのようになっていますか。

藤山)支援はありません。
しかし、議員の中には、保育園や幼稚園に七田教育を導入すべきだと言ってくれる方がいますので、理解者は大勢います。

石)業界そのものを作り、行政に働きかけるというような動きはありませんか。

藤山)学習塾ではありますが、幼児教育ではありません。

石)七田チャイルドアカデミーの夢と藤山社長個人の夢についてお話し頂けますか。

藤山)私の夢は学園を創ることです。
七田教育を学校教育の中に導入させていきたい。
遠大な計画になるかもしれませんが、日本の教育を変えたいと思っています。

石)それは、会社の夢だけではなく、藤山社長個人の夢でもあるのですか。

藤山)そうです。まさに今、実現させる為に動いています。

石)後継の事は考えておられますか。

藤山)私は生涯現役のつもりです。そして、自分の墓標も決めているんですよ。
「魂の教育(右脳教育)を世界中に広げ、世界一社会に貢献した男ここに眠る」と刻みます。
何の為にこれを行うかと言いますとそれは、人に幸せになってもらう為です。
そうすると今、何をしないといけないかという事の答えがでてきます。

石)座右の銘はありますか。また経営者で尊敬する方はおられますか。

藤山)私が哲学として身につけてきたのは、「ナポレオン・ヒルの成功哲学」です。
特に「思考は現実化する」という言葉が好きで、それを実践してきました。

石)藤山社長にとって経営とは何でしょうか。

藤山)会社を永続させることです。

石)経営とは永続。
そういう中で、藤山社長の子飼いとなる方は増えてこられましたか。

藤山)増えています。
まだまだ「人材」としては物足りないところもありますが、それぞれが自分の今の立場において、一生懸命に考えて行動してくれています。

石)常務取締役の浅間氏に当社の「実践ビジネス会計」研修を受けて頂いたのですが、研修について何か言われていますか。

藤山)私は営業は得意ですが、管理については自分で弱いと思っています。
しかし、浅間がその点をよく勉強して、問題点、改善点をきちんと把握し、課題として取り組むという事をやってくれています。
数字を読む力や分析力もつき、経営の厳しさも分かるようになってきたと思います。

石)ありがとうございました。
また、貴重なお話を多数お聞かせ頂き、感じ入りました。
これから益々のご活躍を期待しております。

聞き手 パワーザイム株式会社
代表取締役 石光仁

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