企業家の肖像

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"企業家の肖像"は弊社ビジネススクールやコンサルティングを通して出会った優れた企業経営者に、その経営哲学や生き方の本音をインタビュー形式でお届けする企画です。

本日は、大阪の堺に本社がある株式会社堀内機械の代表取締役社長である堀内晋平社長にお話を伺います。
株式会社堀内機械様は、油圧シリンダーの生産ではトップシェアーを誇る業界のリーデイングカンパニーです。業務の国際化も含めて、今後の展望について迫っていきたいと思います。

第11回 株式会社堀内機械 代表取締役社長 堀内 晋平

〒590-0824
大阪府堺市堺区老松町1丁目37番地
http://www.horiuchi.co.jp/

石)最初の質問なのですが、学校をご卒業されてまず、お取引先の商社にお勤めをされましたよね。何年、お勤めされたのですか

堀内)5年間勤めました。

石)その時のことをお伺いしたいのですが、どのようなお客様を担当されていましたか?

堀内)お客様はね、まぁ俗にいう"工具屋さん"という小さい会社を担当しておりました。中には、数店舗持っているような店もありましたが、私の担当したところはどちらかというと比較的まぁ家業的にやっている工具屋さんが多かったですね。

石)なるほどですね。その時に学ばれたことっていうのは?

堀内)そうですね。2年間は、メーカーの息子ということで、大阪の直販本部に在籍していまして、営業は出ずに内勤ということで、いろんな業務処理の勉強をさせてもらい、3年目から5年目までがひととおり営業について学ばせていただきました。

石)商いの基礎ですか。

堀内)そうですね。はい。

石)堀内さんは、社業を引き継がれましたが、最近は継がない方も増えています。この前、びっくりしたのですが、ついに会社を継がれる人が、5割を切ったらしいんですね。

堀内)それは凄いですね・・・

石)結構ショッキングな数字ではあるのですが、でも、先行きが不透明な中で、継がないというのも合理的な選択かもしれませんね。継ぐということは不透明な時代をリードしていくということですから、大変なことですものね。堀内さんは、継がれるときに、そういう不安感はなかったですか?

堀内)私も5割の継がない方の気持ちは、やっぱりよく分かりますし、ただね、やっぱり親に大学まで出さしてもらって育ててもらったというね、恩義は感じていましたね。3世帯でね、おじいさん・両親・わたしらと一緒に住んでいまして、やっぱり創業者のおじいさんとかね、父親の働きぶりとかをね、そういうの見てまして、兄弟も姉妹なんで、私しかいないなぁという中で。うすうすそんな期待感を感じながら、明確に継ぐとかはなったんですけど、まっそんなもんやろなと思いながら・・・

石)継いでいくのが自然だろうと・・・

堀内)うちの父親もおじいさんもね、継ぎなさいなんてこと言わないですし、お前の好きにしていいと・・・

石)堀内さん、ご長男じゃないんですよね?

堀内)姉・私・妹なんで。

石)2番目の長男ですか。

堀内)そうですね、はい。

石)おじいちゃんが創業されてから、いま何年目?

堀内)72年目ですね。

石)老舗ですね。そんだけ長いと、"歴史"を引き継がなければという責任感は出てくるでしょうね。男は堀内さんしかいないし、継ぐのは当然というのもうなずけますね。

石)次に、会社に戻られてからのお父様の帝王学教育について教えてください。お父様は厳しかったですか。

堀内)石先生もイメージできると思うのですが、全く何もいわなくてね、自分で考えて、自分でしなさいということで。

石)自由なんですね。

堀内)人は、各々の道があるんやということで。あまりだからなにも言わないですね。はい。ほんまは、もっと言いたいことあったと思うんですけどね。

石)でも何も言わないというのもプレッシャーですね。
では、次に行きます。今油圧シリンダーのお仕事をしておられますが、シリンダー業界の現状とこれからの業界動向をどうお読みされているかを教えて頂けますか・・・

堀内)シリンダー業界はとてもニッチなんですね。弊社は、JIS標準品に限定した多品種個別受注生産で成長してきた会社なのですが、今、曲がり角にきています。電動シリンダーの浸透と国際化の進展が業界にインパクトを与えています。電動シリンダーは15年前からあるのですが、最近、マーケットに浸透し、シエアーが喰われている現状があります。なので、シエアー回復の為に今まで手を出さなかった特殊シリンダーも取り扱っています。

石)特殊シリンダーというのは、あまりもうからないのですか?

堀内)昔はやならなかったですね。会長は、特殊は取るなと。JISだけ貰ったらいいんやと言う形でやってたんですけども、この10年やぱっりこれから油圧も減っていく中、それではアカンヤろと言う事で特殊シリンダーも積極的にとは言わないけども、取り扱い始めています。そのお陰で10年前より売り上げは増えてきていると言う状況なんです。

石)次に国際化についての取組について教えてください。

堀内)国際化に関しては、二つの影響があります。お客様がどんどん海外に設備投資をするということ。そして加えて韓国・台湾企業が日本の市場に商品を持ってくるということ。国内需要が小さくなる中で、海外勢の参入でより競争が厳しくなると予想しています。
昨年より中国で工場を稼働しています。お客様が中国で事業展開していますので、お陰様で、売上の方も順調に伸びています。今後の拡大は中国における業容の拡大がテーマとなります。

石)なるほど、まぁ海外展開も積極に手を打っておられるのですね。では次に、堀内さんが経営理念として大切にしている所についてお聞かせ願えますか。

堀内)はい、「物作り・人作り・幸せ作り」という理念を通して社会に貢献していきたいと思っています。もともと創業者が機械を作るのが好きで「こんな機械を作りたいあんな機械を作りたい」そんな機械好きな人が作った会社なんで・・・

石)元々は、シリンダーじゃなくて機械を・・・

堀内)はい、鉄工所で色んな機械を作っていまして。

石)そうなんですか。

堀内)ええ、その中で機械をやっていたんじゃ何時までたっても下請けでダメだと言う事でその時作っていた機械を部品レベルにばらしてその時に堀内機械に出来る物がないかと。それで、油圧シリンダーなら出来そうだねと。

石)特化したんですね。

堀内)はい、そうですね昭和30年代40年代は2本立てでやってましてオイルショックの不景気の頃やっぱり機械と言うのは山谷が激しくてね、その頃は油圧シリンダーが伸びていく産業と言われてまして油圧シリンダーに特化しまして標準のJIS規格品を数の出るやつをやって行こうと言う事で・・・

石)後はお父さんがやりはったのですね。

堀内)そうですね。会長がやったことですね。

石)それは中々鋭いですね、規格品を特化されたと言う事が鋭いですね。

堀内)そうですね。はい・・・今あるのも会長のビジネスモデルがしっかりしているので今の私たちがあるんだと思います。

石)なるほどね。次ですが、ご自身の経営に対する姿勢並びに社員に求める物について教えてください。

堀内)はい?

石)例えば、人間はこのように生きるべきであるというような類のものです。

堀内)あんまりそんな難しい事は、あまり持ち合わせていないんですが・・・。
私人身ネガティブな考え方は苦手でして、う~ん・・・・。
何か新しいことに対して後ろ向きになる人っていますよね。やはり、前向きでいるということが重要だと思いますね。前向きな人と言うのは、どんな苦しい状況でも希望をもって取組ますよね。うまくいくか、いかないかという結果は関係なしに目標を持って自分を磨き続ける、そう言う人であれば、どこに行っても私は通用するじゃないかなぁと思っていますね。

石)でも、そうじゃない社員もいますよね。

堀内)いてますね。

石)もっと積極的になって貰うとか、もっと明るくなって貰うとか、そうなってもらうために会社として取り組んでおられることってありますか?

堀内)そ~ですね、まぁ研修活動を通じて取り組んでいますね。

石)ほ~お!

堀内)弊社の会長は、先ほども言いましたが、物づくりは人作りからという信念をもっていまして、社員がこれ学びたいと言う物に関しては、無条件で認めると言う事で「みんな勉強しなさい」と言う考え方です。でも、そんなん言うてもなかなか、手を挙げる社員が居るか言うたら・・・。でもそういう中、営業部門の方はね、結構私も長くおったんで、そう言う研修を色々受けてくれて、元気で前向きな人が増えてきましたね。

石)それは、営業スキルの研修とか?

堀内)いいえ、じゃなくて。どんな困難にもあっても目標を持って・・・

石)フィロソフィー的な、哲学的な

堀内)そう、そうです。現在は、理念・行動指針が出来て後は中期計画書作成にとりくんでいます。

石)理念や行動指針はご唱和されているのですか。

堀内)唱和をするかどうかは、グループ長にまかせています。どう運用するかは、今後の課題という状態です。

石)はい、それでは、次に行きますね。中期経営計画を作成されたと言うお話ですが、運用はどういう状況ですか。

堀内)そうですね。弊社は12月決算で2月の11日が祭日になるんで、その日にリーダークラスだけ集まって方針発表を部門リーダーにしてもらい共有化を図っています。後は、それを個人の目標にまで落とし込まないとだめなのですが、まだ、現在はそこまでできていないというのが現状です。

石)今後の課題ですか?

堀内)今後の課題です。営業は、チャレンジシートを個人別に作成して個人の行動管理が随分進歩してきたので、今年は製造のリーダークラスにちょっとチャレンジシートを書いてもらおうと考えています。

石)なるほどね。

堀内)いきなり全社員にチャレンジシートを書けと言うたら、そらもうアレルギーおこしてこんなん書けるかいなとなるんで、まずは製造のリーダークラスに書ける範囲でいいんでチャレンジシートを書いてやって行こうと。

石)そこからチャレンジしていかなあきませんか。

堀内)そうそう(笑)。

石)それじゃ次に、社員のモチベーションアップの取組についてお話を伺いたいと思います。普通、忘年会とか旅行、ないしはクラブ活動とが一般的ですが、他にも何か取組やられておりますか?

堀内)そうですね。エコリンピックと言うのをやっておりまして、

石)エコリンピック?

堀内)ええ、会社で出る廃材とかをリサイクルして・・・

石)リサイクルするって?

堀内)廃材を使って、小学校の工作見たいな感じで作品に仕上げて・・・

石)会社内だけで?

堀内)会社内だけで作品展"エコリンピック"が生まれてまして

石)展示は何処でされるんですか?

堀内)場所はね、大体堺の地場振興会館と言うのがあるんで、そこの大きいホールを借りて作品展示して・・・

石)ご家族の方も

堀内)まぁそうですね。投票して一番良かった人には賞金と言う形でやりながら。

石)出来上がった物はお返しするわけですか?

堀内)そうですね。とか会社の食堂に飾ったり、全部ちょっと置けないんで、ええ~

石)毎年やられてはるの?

堀内)毎年そうですね。今年で4年目です。

石)参加点数は、どのくらいあるのですか?

堀内)約150~200点位。

石)すごい。でも社員さんは、大体300人でしょう。

内)そうですね。

石)50%以上の参加率?すごいなぁ・・・

堀内)そうですね。結局グループでもいけるし個人でも出せるので、人によっては、2・3点出してたりとか・・・

石)ちなみに去年優勝された作品てどんな作品なんですか?

堀内)去年はダンボールで、宮崎駿のアニメの「天空の城ラピュタ」に出てくるロボットを再現してましたね。ダンボールでガンダムのホワイトベースの戦艦を作ってたり、第1回目やったかなぁ、取引先の業者も参加して、これがダンボール屋さんなんですが"スカイツリー"つくってましたね。

石)これってモラールあがりますよね。

堀内)ただ、こういうのって得意な人がいてて、優勝者はいつも同じという点が難点でもあるんですね。

石)では、次に行きます。堀内社長の現在尊敬している人物並びに座右の銘があれば教えてほしいんです。

堀内)尊敬している人物と言うか小説でね「坂の上の雲」と言うのが好きであれに出てくる人が素晴らしいなと。国のビジョン掲げて存亡の為に自分を投げうって・・・

石)日露決戦ね。秋山兄弟ですね。

堀内)それと山本五十六元帥の銘「男の修行」と言うのがあって、あれがやっぱり経営者の座右の銘になるのではないかと思っています。

石)同感ですね。深いですものね。

堀内)そうですね。厳しい極致に合っても諦めず前に進めと言う気持ちでね。

石)人物ですね。やっぱり山本五十六元帥は。

石)次に企業規模は何処まで展開されたいんですか?

堀内)そうですね。ちょとその辺はまだ不明確ですけれども、10年ビジョンと言う事で50億達成したので、次は100億と言う事で国内売上高70億、中国売上高が30億位の規模ににしたいなと思っています。

石)なるほど。国内の方は先程おっしゃられた特殊シリンダーを上積みしていくと言う事で達成するということですか。

堀内)後、メンテナンスサービスとか今までできてないサービスで上積みしようと思ってます。

石)油圧シリンダーって何年位持つんですか?

堀内)結構持つんですよね、パッキンとゴムのシールさえ定期的に交換しておけば、使用条件にもよるんですが、10年使えますよね。

石)そのパッキンの定期供給を新サービスにしようと?でも販売量減りますよね。(笑)

堀内)まぁそうなんですけれども結構、製鉄所とか行きましたら昔日本で設備できなかった時にアメリカやドイツの設備が入っていて訳の分からんシリンダーが入っててこれどうメンテしていいんやと結構困ってらっしゃる現場みてますのでね。これもメーカーの責任かと考えています。

石)なるほど。ちなみにそれメンテをやったら何年ぐらい持つんですか?

堀内)まぁ使用条件にもよるんですがね。3年、5年位はいけるんじゃないですかね。

石)結構持ちますね。そして、メンテナンス、油圧シリンダー含めて、まぁ後20億は国内で、上積というご計画ですね。

堀内)そうですね。

石)なるほど、最後に弊社のビジネス計数塾に通学頂いていますけどご意見等を頂戴できれば、ありがたいです。

堀内)そうですね。物事の本質に迫るというかね、普段当たり前に使っている"ビジョン"とか"事業コンセプト"言うのをしっかり学ばせていただいています。加えて、言葉だけじゃなくちゃんと数字に繋がった形で会社のマネージメントをシステム化しているところが、パワーザイムさんの素晴らしさと思いまして。

石)宣伝ご協力ありがとうございます。

堀内)いやいや、本当に"見える化システム"が出来ていたら、部下に指示しやすいですよね。

石)マネジメントシステムは、作り上げていくことが時間的には大変です。

堀内)大変やと思います。

石)堀内社長は、私どもの考え方をすこしずつ導入されていますよね。

堀内)そうですね。

石)今、取り組んでおられる対象は、トップ層からと伺っていますが。

堀内)そうですね。

石)それ順番から言ったら正しいですね。トップが出来てミドルクラスが次、最後にロアークラスに落し込んで行く、トップマネジメントクラスを変えていくと早いですからね。
本日は、ご協力有難うございました。

堀内)いいえ、こちらこそ有難うございました。

聞き手 パワーザイム株式会社
代表取締役 石光仁

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