企業家の肖像

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"企業家の肖像"は弊社ビジネススクールやコンサルティングを通して出会った優れた企業経営者に、その経営哲学や生き方の本音をインタビュー形式でお届けする企画です。

今回は、東大阪を代表する自転車メーカー、オージーケー技研株式会社の専務取締役 木村泰治さんを紹介します。昨年ご結婚され、一児の父になられ、私生活も充実している若き新進気鋭の木村専務に経営の話を中心に人生観までせまってみたいと思います。

第12回 オージーケー技研株式会社 専務取締役 木村 泰治

〒577-0066
東大阪市高井田本通6丁目2-32
http://www.ogk.co.jp/

石)本日は有難うございます。今、おいくつになられました?

木村)28です。

石)28!! 若~!今、役員ですね。肩書はどうなっていますか?

木村)専務取締役ですね。去年の5月で、専務取締役になりました。

石)ハァ~ 普通会社に勤めていたらまだ主任さんクラスかなぁ?

木村)そうですね。
同級生でも、まぁ…管理職になっている人間は居ないですね。

石)会社を継ぐとなったらリスクがあるじゃないですか?
あえて会社を継ごうと思われた理由は?

木村)ハイ、まぁ~事業承継には色々なパターンがあると思うのですが、僕自身は当たり前のように育ってそれが当然で、生まれた時からもう「そうなるんだよ」と言う形で。父はそうでもないのですが、祖父や祖母またその親族がそう言う形で僕を育てて来ましたので、継ぐという心づもりで人生過ごしてきました。只、どうしても人間なので学生時代はサラリーマンとか、ほかの仕事に就きたいと思う時もありました。

石)例えば、どんな仕事に就きたいと思ったのですか?

木村)まぁ月並みですけど、例えばスポーツ選手になりたいとか、好きなスポーツがあったので…

石)好きなスポーツは何ですか?

木村)サッカーが好きですが、例えばジャーナリストとか、そう言った仕事も例えばですけども…

石)スポーツジャーナリスト?

木村)スポーツジャーナリストも良いかなぁ~と思ったりもしたのですけども、元々DNAがあったと言うことです、小さい時から親しんでいる会社で、知っている社員も沢山いて僕が継がなければ逆に、「この会社どうなるのかなぁ?」と思った時に。

石)責任感?

木村)責任感という大層な物ではないのですけれども、他の人が継いでいるのを見るのも、嫌だなぁと思ったので。

石)自分が引き受けようと…成るほど!
それでは、現在の事業とサービス事業内容を簡潔に教えて頂けますか?

木村)オージーケー技研株式会社元々は、プラスチックのインジェクションの成型メーカーから始まって、基本的に作っている物は自転車用品ですね。
主に自転車のパーツを作っているのですが、グリップであったりバスケット、チェーンカバー。そして小物もやっていまして、一番多く出ているのは、自転車用のチャイルドシートですね。そこが一番大きな販売の柱になっています。物作りを中心にしたメーカーですのでデザインから始まって、その前段階から顧客のニーズを掘り起し営業から情報を共有し、お客様のニーズに基いて企画を立ち上げてデザインを社内で設計し、場合によっては金型も作り、成型・組立もすべて社内で一貫して行っている会社です。

石)自転車プラスチック用品の企画製造販売メーカーですね。
今一番見かけるのは、僕の自転車もそうなんだけど、カゴに必ずOGKのロゴが入っていますね。国内メーカーはOGK独占ですね。他のメーカー見たこと無いですね。

木村)ハイ、ここ最近ですけれども、シエアーがグット上がったのは。
そして、今の販売の柱になっている、子供乗せは、シエアー7割です。

石)7割? グリップのシエアーはどれ位ですか?

木村)グリップはそこまでないですね。まあ正直、昔は8割9割位あり「自転車乗った人は、OGKとみんな握手してる」と言うキャッチフレーズがありました。

石)それはおもしろい。ハハハ~。

木村)今は、中国から安い商品が海外から入って来ていますので、事実上は3割4割位が良い所じゃないでしょうか。

石)そうですか、ライバルとして中国、台湾メーカーがあるからですね。

木村)ハイ。

石)お客さんに取っての、企画・ユニークな掘り起しが今後のポイントとなるのですかね。 大体、どれ位新しい商品を出されているのですか?

木村)年間で、ですか?

石)はい、年間、新商材!

木村)細かい物も含めれば去年10点以上は出していますね。

石)ほ~!! 10点も金型を起こしているのですね。

木村)ハイ、昔は基本的に社内で出来る物だけ、プラスチックの成型が出来る物だけを中心に作っていたのですけれども、今は子供乗せの周辺商品を作っていますね。

石)どんなのですか?子供乗せの周辺商品て…

木村)例えば、チャイルドシートの周りとなってくると、子供を寒い時に覆うブランケット。

石)へ~!

木村)はい、レインカバーとかも、あれは成型では出来ないので。

石)仕入商品ですよね。

木村)仕入商品ですけども企画は社内でやっています。品質管理も自社で、かかわっています。製造は中国で作って…

石)それは面白いですね。それでは次の質問に移ります。企業理念、経営理念ですね。
会社として理念を大切にされている事はどんな事がありますか?

木村)オージーケー技研株式会社これまでの会社の企業理念で言いますと、物作りを中心にお客様に安心して使える物を提供するのが基本理念です。昔は“鉄をプラスチックに変えて行く”と言うのも企業理念の一つでした。

石)プラスチックは軽いですけど鉄は重いですもんね。物作りを大切にし、そして自転車を中心としたプラスチック用品作りは、今後も揺らぎない物なのですか?

木村)中心はやっぱり自転車になると思います。しかし、人口は減っていきますし、自転車の需要数もそれに応じて減って行くでしょうから、それだけではなくてチャンスがあれば他への展開へも挑戦するつもりです。
今はベビー用品をやっていまして幼児の玩具とか。

石)玩具も扱っておられるのですか?

木村)ハイ、今は仕入ですけれども。

石)へ~!

木村)先程の子供乗せから波及して、子供乗せを使う前にOGKの商品に触れて貰うんです。

石)それは、OGKのブランド名が入っているのですか?

木村)ハイ、安直なのですけれどもOGKBABYと…

石)「OGKBABY」OGKを身近に感じて貰うと言う狙いがあるのですね、自転車は中核だけど、それにこだわる事無く事業の軸を展開して行きたい、今の話ですとプラスチック用品にこだわるわけでも無いのですね。

木村)ハイ。でも、中心にあるのは物作りです。弊社の理念としては物作りが中心にあるので単純に仕入れて売るのでは無く、少なくとも社内で企画・設計を行い出来れば社内で作るのが良いですよね。

石)玩具も社内で企画設計されていたのですか?

木村)作っている物もあります。

石)ほ~!それは驚きです。

木村)まだ売れてないですけれども…(笑)

石)今、目論んでいる途中?(笑)

木村)そうですね、どれが当たるか分から無いですけども。

石)販路が、まず全然違うビジネスですから…。

木村)難しいです。

石)新ビジネスはビジネスでまた大変ですね、品揃えも必要じゃないですか。

木村)ハイ。

石)ある程度まとまった品揃えがないと消費者も中々相手にしてくれない部分もあるしね。次に海外への展開についてお聞かせください。

木村)海外も当然視野に入れていますね。自転車屋の子供乗せと言う商品の特徴上、どうしても、自転車を日常的に使う国じゃないと中々普及は難しいので、ターゲットはヨーロッパ中心になりますけれども、そこをメインに、今、販売を掛けているところです。

石)ヨーロッパは本場ですもんね。

木村)ハイ、こちらより自転車の文化は進んでいます。

石)やはりパーツはプラスチックでやられているのですか?

木村)ハイ、向こうもプラスチック中心の子供乗せがほとんどで、むしろ日本よりもマーケットが成熟している印象がありますね。

石)プライスはどうですか?日本は結構安い自転車が流通しているじゃないですか、ヨーロッパの自転車はどんな感じなのですか?

木村)ヨーロッパは、国によりますが主要のドイツ・オランダになってくるとプライスは日本の3倍位です。良いものを買って長く使うのが基本なので…

石)自転車は大体何年位持つ物なのですか?

木村)日本ですと使い捨ての感覚ですけれども向こうでは5年10年と乗りますね。

石)10年も持ちますか?

木村)大切に乗ればです、向こうの自転車屋さんに行くと面白いのが、日本ですと商品のデイスプレイが店舗の殆ど占めているのですけれども、ヨーロッパの店舗は半分がデイスプレイ用半分は修理用の工房です。

石)お客さん自身が直されるの?

木村)いいえ、店員が修理するのですけど、スペースが半分ずつなんですよ、修理のお客さんが多いのだと思います。

石)日本全体では安い価格の自転車を大量に流通されているじゃないですか、ヨーロッパには無いのですか?

木村)まぁ~量販店などに行くと安価な商品も置いている所もあります。

石)あるのは有るのですか?

木村)有りますが、基本的な自転車屋さんのスタイルは、高い良い自転車を半分置いて、もう半分は修理用スペースで工房スタイルです。

石)アジアはどうでしょう?
アジアの所得でしたらまだ難しいですかね?

木村)当然アジアも少し売ってはいるのですが、数と言ったらまずはヨーロッパ。

石)ヨーロッパでしたら代理店展開?

木村)ですね、おそらく。

石)ウン、買切りですか?委託?

木村)う~ん、実はヨーロッパ販売はちょっとずつしか、出来ていないので、これからになるのですけれども…

石)新しい取り組みになるのですね。

木村)そうですね。委託が出来るような所が見つかれば委託も考えたいなと思います。

石)なるほど!
ここで、今までの話を整理したいと思います。創業以来自転車を中心とした用品の開発、そして製造販売でしたが、今後は異分野にもチャンスがあれば挑戦していき、国内だけではなく世界戦略も描いていると、言う事ですよね。

木村)そうです。

石)企業の実際の活動は、一般社員が活動するじゃないですか、ここ数年新入社員の数を増やして行っていますよね。

木村)はい!

石)社員教育、特に幹部教育ですよね、なにか教育体系・システムがあるのですか?

木村)オージーケー技研株式会社うちの会社は中小企業で上司の背中を見て育てろと言うのが、基本なのです、特に営業・開発は一つの仕事を完全に任せてしまうので、個人のスタイルで売上をあげるか製品を開発するなり、自由なスタイルを認める反面、自分で自発的に仕事を見つける人か、自発性のある人間でなければ中々難しいのが今の現状です。

石)それで、採用するときに意欲的な人を中心に採用していると。

木村)採用計画としては基本的に挑戦的で意欲的な人間を求めています。
それと、女性を意識しています。特に開発分野に関してはこれまで男性が多かったのですが、これからは女性目線の商品が増えていますので女性中心に…

石)あ~そうですね、幼児目線はママさんですものネ、ずばりユーザーは女性ですもんね。デザインとか重要でしょうね、男性は乗れたらいいやと言う部分があるからね。

木村)ハイ、女性だけでもダメですが、やはり男性と女性がいて女性の意見をもう少し増やして行けたら…

石)ちなみに女性社員は何人増員ですか?

木村)昨年は一人ですね。一昨年は営業で4名入れています。

石)ほう~!なるほど、
採用された女性達は活躍されていますか?

木村)ハイ。女性を入れ始めたのがここ3年ですが、頑張ってくれていますね。

石)なるほど。若い社員のモチベーションを上げる為に取り組みをされていることありますか?男性社員のモチベーションと女性社員のモチベーションの違いはないのですかね。

木村)いや~、違う部分もあるでしょう、そこはまだ正直手さぐりですね、違うなと感じる部分もあれば、男女を区別して接するわけにもいけないので、それぞれ社員平等に接してはいるつもりです。
社員のモチベーションを上げる取り組みは、特には無いのですけれども、弊社は製造部隊と営業部隊と開発部隊とがあり、開発はそれなりに自分の中に「デザイナーになりたい」と言う意思が有って来る人が殆どなので、モチベーションが高い訳です。

石)なるほど。

木村)逆に製造となると一日同じ仕事をしていますし、機械相手に仕事をしているのが殆どなので、若い人が入っても中々続かないですね、一日仕事に対する達成感とかが感じにくい状況にあるのかなぁ~と感じています。そこを改善する為に、他部署と一緒になって若い人とサークル活動を取入れて、本業とは別で何か達成感を得られる様な仕事とか、会社に影響を与えるような仕事とかを探っています。

石)なにか達成感を与える仕組みが重要だと考えている訳ですね。

木村)ハイ。

石)それでは次ですが、尊敬している人を、教えていただけませんか。もちろんお父さんを尊敬されていると思いますが、他に尊敬されている人を教えてください。

木村)石先生も尊敬しています。

石)有難うございます。(笑)

木村)その質問を伺って誰かなと思ったのですけれども。

石)創業者のお祖父さんとお父さんかなぁ~?

木村)当然、祖父そして父親を尊敬しています、尊敬している人は沢山いるのですが、僕の会社で顧問をやっていらっしゃるデザイナーの方も尊敬していますし、他にも色々尊敬する人がいますが、共通するのが成功しているけども、若い人間、経験のない人間に対しても、フラットに話をしてくれる、常に謙虚に接してくれる、吸収力をもって話をしてくれて、包容力と言うのですかね、尊敬する人達はみんな素晴らしいと感じます。特に尊敬した人は、ヨーロッパのお仕事でご緒した方なのですが、彼は仕事に対して非常に情熱もあり誰に対してもフラットにオープンに話が、出来るという意味で非常に尊敬していますね。

石)ところで、話が変わりますが、プレツシャーみたいな物は感じますか?
今、会社に入って何年目ですかね?

木村)5年目です。

石)会社に入る前と5年たった今現在と、この5年間で変わった事、変化した事があれば教えてください。

木村)そうですね、入社した時は何も分からずに居たので、プレツシャーの種類が別でした。営業に入って、いきなり大きな得意先を受け持って、それに対してのプレツシャーが大きかったですね。しかし、役員になってからは社員に対するプレツシャーが、責任感と言うのが、役員としての責任感を感じる様になりましたね。
一番は社員が辞めた時に非常にそれは感じましたね。彼一人の人生、その人の人生を僕がある意味、左右したんだなあと改めて感じた部分があったので。

石)そういう言う事があったのですね。

木村)ハイ、今後そう言う場面も増えて行くでしょうし、責任と言うかプレツシャーを感じる場面は増えて行くかなぁ…と

石)なるほど、5年間営業で今は開発?

木村)ハイ、開発担当で今は専務取締役です。

石)専務には、昨年なられたのですかね?

木村)昨年の5月になりました。

石)重責ですよね。代表者的な意味合いがありますものね。

木村)ハイ。

石)法律上は代表取締役と同じ働きですものね。

木村)自分はそう考えていなくても…

石)世間はそうですものね、木村専務が発言したことは、会社の意思表示と言う事になりますから逃げる事は中々出来ない、大変ですね。
それでは、木村専務の人生観についてお聞かせ願えますか。

木村)ハイ、僕自身の考え方の基本ですけれども、恵まれて育った世代なので、一般的な成功とか、人並み以上の暮らしをしたいと言うことに、僕はそこまでの執着は無いですよね。
偽善的ですが、社内とか周りの人間と分かち合いたい、社員が誇りを持てるような会社にしたいのが一番です、最近は凄く思いますね。

石)凄い、高い目標ですね。物はあっても飽きますもの、無形の価値、皆と一緒に喜べると言ったらすごいことなんですが、お若いのにその大切さがわかるとは…

木村)どうなのですかね、まぁちょっと偽善的かもしれませんけれども、「社員の物心両面の幸福を」て、ありますよね。会社の目指すべき所はそこかなぁと…

石)僕は"安心"と"遣り甲斐"がキーワードかなぁと思っていますけれどもね。
それでは、いきなりくだけた話ですが、個人的な趣味とか、ホビーとかありますか?

木村)サッカー、ゴルフです。ゴルフは今年100を切りたいと思っています。

石)僕も頑張って付いて行きたいと思います。(笑)
ビジネス計数塾に参加して頂いておりますが、感想助言等を頂ければ有難いのですが。

木村)毎回楽しく受けさせて頂いております、石先生のお話も楽しく聞かせて頂いて勉強になります 。(笑)
自分と違う視点と持った方たちと話をするのも、良いですし計数塾の計数を勉強する以上に違う角度の意見を持った方の話を聞くと言う機会が一番貴重かなぁ~。それは有難いと感じています。

石)有難うございます。最後に木村専務にとって経営とは何ですか?

木村)経営とはデザインですね。

石)おっしゃるとおり。ビジネスと業務をスケッチすることこそマネジメントです。

木村)プロダクトデザイナーが売れる物を作るじゃないですか、プロダクトデザイナーは会社に利益を出せる商品を作り、しかも自分が思い描いていた美しいと誇れる商品を作っている。それは経営もデザイナーも似ている気がしますね。

石)亡くなったスティーブ・ジョブスが経営とはデザインであると言っていますね。

木村)じゃ僕もスティーブ・ジョブスと同じですね。(笑)

石)そうですね。(笑)
それではお時間を頂き有難うございました。

木村)ハイ、有難うございました。

聞き手 パワーザイム株式会社
代表取締役 石光仁

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