企業家の肖像

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"企業家の肖像"は弊社ビジネススクールやコンサルティングを通して出会った優れた企業経営者に、その経営哲学や生き方の本音をインタビュー形式でお届けする企画です。

今回は、神戸市を中心に、学習塾を展開されている若手経営者、株式会社聖文館理事長の井沢伸平氏をお迎えし、インタビューさせていただくことになりました。
株式会社聖文館は、創業59年、法人設立50年、小中学部教室19教室、個別教室10教室、東進衛星予備校15教室等総数46教場、社員数約170名パートアルバイト等で約700名と地域に確個たる地位を築かれておられます。
また、東京インターナショナルスクールの教室を苦楽園にて立ち上げ、業界のリーダーとして積極的に時代を先取りした展開をされています。過去の振り返りと今後の展望についてお話を伺いたいと思います。ご期待ください。

第16回 株式会社 聖文館 代表取締役社長 若松塾 理事長 井沢 伸平

〒654-0023
神戸市須磨区戎町3丁目1-23 聖文館ビル
http://www.wa-juku.co.jp/

石)本日はよろしくお願いいたします!
早速なんですが、井沢さんは学習塾を経営されているということですが、その概況を説明してもらえますでしょうか?

井沢)はい。「株式会社 聖文館」という名前で学習塾「若松塾」を運営しています。

石)どうして会社名と塾の名前が違うんですか?

授業の様子

井沢)元々は私の父が昭和32年、当時19歳だったときに個人で立ち上げた塾が始まりなんですが、法人化していこうと思ったのが昭和41年のことでした。
その時に法務局に有限会社として登記しようとしたんですが、「会社」で「塾」というのはおかしいんじゃないかと指摘を受けました。 当時はまだ学習塾が企業的にやるっていうイメージがなかったので、塾は寺小屋のように個人でやるものだという固定観念があったからなんです。
それで別の名前を考えようということになり「聖文館」になったわけなんですが、そういう経緯なので聖文館と若松塾は名前が違うだけでほとんど同じなんです。

石)なるほど、そうなんですね。どういう風に若松塾は広がっていったんでしょう?

キャンプファイヤーの様子

井沢)はい。一番初めは中学生に英語と数学を教える塾としてスタートしたんですが、小学校のほうでも預かってほしいという声も次第に出てきて、少しずつ低い学年の生徒も増えていきました。弊社の理念は、"よく学び、よく遊べ"なのですが、夏休みには、キャンプファイヤーも行い、それがまた魅力のひとつになっていると思います。
そのような取組の中で、別のエリアでも若松塾を、という声が出て多教室展開も始まりました。或いはさらに下の幼稚園児を対象にしたりしました。 また、兵庫を中心に展開していったので灘中学を筆頭とした難関私立中学の受験対策もやるようになってじわじわと塾としての手数が増えていった感じです。 それからフランチャイズ展開していた東進衛星予備校に参画もしましたし、個別指導もやるようになりました。

石)色々と取り組んでいらっしゃるんですね。井沢さんはお立場としては聖文館の代表取締役社長、若松塾の理事長になられるんですよね?
会社を継ぐに至った流れはどういったものだったんですか?

井沢)えーと、13、4年前のことで、丁度30歳になる年の話でしたが、それまでは薬剤師でしたので大学病院にいたり、ドラッグストアで小売業をしたりしていました。

石)なるほど。何か継ごうと思った理由はあるんですか?よくほかの方は宿命だと思って諦めてたりするんですが(笑)
小さいときから言われていて継がないわけにはいかない、という感じ。でも、井沢さんの場合、そういうわけでもなかったんですか?

井沢)そうですね。むしろその逆で、誰にも塾は継がさせないと。

石)それはどうしてですか?

井沢)それが、父はなんでもすごくキチンとするタイプだったんですが、男3兄弟で僕は次男なんですが、誰にも任せられないと。
宿題なんかもギリギリにやってるような子供達だったので(笑)

石)それって普通ですね(笑)なるほど、躾が厳しくて要求水準が高いんですね。

井沢)他には、塾なので他によく出来る子達を見て比較してたっていうのもあると思いますね。

石)なるほどなるほど。かないませんね(笑)

井沢)まぁそれで結局、兄が医者に、弟が獣医になってみんな医療系でやってたんですが、3人息子がいて誰も継がないっていうのはもったいないんじゃないかと考えるようになって僕のほうから父に頼んで継がせてもらいました。

石)何かきっかけはあったんですか?

井沢)はい。徳島の塾でバイトしていたことがあったんですが、そこで実家が塾をやっているというのを話したことがあったんです。
それで、なんという塾かと聞かれたときに若松塾だと答えると、僕としては神戸の塾を徳島の人が知ってる訳もないだろうと思っていたんですが、知っていたんですね。すごい塾だと。僕は実家のことなので何とも思っていなかったんですが、外からはそう見えるのかと思いました。そのことは大きなきっかけでしたね。

石)なるほど、分かりました。では次の質問なんですが、経営理念で大切にされてることはありますか?

井沢)そうですね、教育でありながらお金の問題がついて回るので、そこの部分のバランス感覚が大事だと思います。
教育馬鹿になってしまっては経営が成り立たなくなるし、かといって利益だけを追求しては教育の中身が薄くなってしまう。
このバランスがすごく大事だと思ってます。結局、金勘定で考えて生徒を見ていてはどうも上手くいかないんですね。
生徒一人一人をきちんと見てやらないと、例えば、東大に入っても性格に難があって社会に必要とされない、なんてことになっては意味がない。 そういった部分を大事にしたいと思っています。

石)確かに、他の業種でもそうですが、売上高や利益額が目標になってしまってはいけないと僕も思ってます。あくまで事業の価値の測定手段に過ぎないと思うんですね。 分かりました、では次に、塾業界の現状と今後の展開についてお聞かせ願えますか?

井沢)そうですね、とにかく、今後何十年も続いていくであろう少子化の問題ですよね 国内の子供を相手するだけではやっていけなくて海外の子供を相手にするっていう塾も珍しくなくなってきています。
でも、そういった塾は本当に一握りだけなんで難しいですね。

石)少子化はどこの企業も影響受けてますねぇ。

東京インターナショナルスクール

井沢)あとは、例えば英会話をやるとか、TOEICをやるとか英語に向けての取り組みっていうのは増えてきてますね。弊社でも東京インターナショナルスクールの加盟教室を苦楽園の方で運営しています。単なるジュニア用の英会話を教えているのではなく、英語を使って思考力やリーダーシップを育てていくことが目標なので、他の英会話教室とは一線を画していると自負しています。
他にも、社会人向けや年配の方向けの塾をやって子供以外の層にも顧客を作っていくっていう取り組みも増えてますね

石)なるほど、業界としては今は次のステップに向けて模索の段階ですか。

井沢)はい。あとはIT化がすごく入ってきましたね。電子黒板で授業をするとかiPadを使って授業をするとか。

石)日々進歩してますからね。今後はもっと増えていきそうですね。わかりました、では次の質問ですが、社内で教師を育成するっていうのもすごく大事な業務だと思うんですが、どうお考えでしょうか?

井沢)そうですね、そんなにシステマティックにはなっていないんですが、まずはベテランの教師に引っ張ってもらって一年間は担任としてのクラスを持たずに見学してもらう。 それから少しずつ慣れていってもらうという感じですね。でも授業をするだけなら、ただの慣れの問題なんです。
そうではなくて本当に大事なのは子供たちに向かっていく姿勢、或いは若松塾の教師としてのマインドですよね。
ベテランについていく中で、子供の興味を引くような物の言い方や姿勢っていうのを学んでほしいと思ってます。

石)なるほど、OJTということですね。採用段階で気を付ける部分とかってありますか?

井沢)もちろん、学力はある程度は見せてもらうんですけど、やっぱり一番は心意気ですよね。
最近一つ嬉しかったのは元々塾生だった子が教師として戻って来てくれたことですね。
若松塾での授業を思い出して、自分も働きたいと言ってくれるっていうのはすごく嬉しかったですね

石)わかりました。では次の質問ですが、井沢さんが尊敬されている方はいらっしゃいますか?

井沢)そうですね、父とは答えないようにしないとなと思ってます。

石)それはなぜですか?

井沢)大学入試の面接で尊敬する人をご家族以外であげてくださいっていう質問をされたことがあったんですけど、何故家族以外かというと放っておいたら皆家族のことを言うからだそうで、それ以来やめるようにしてるんです(笑)

石)この企業家の肖像シリーズでも大体お父さんが多いですね(笑)

井沢)なので父以外で答えようと思うんですけど、なかなか難しくて、皆さんすごいなと思うことはよくあるんですけど、心酔するような人はいないかと思います。 色々な人のいいところを参考にしていきたいと思ってます。

石)では特定の誰かというのではなく、こうありたいと思うような理想像はありますか?

井沢)社内からは父のようであって欲しいと思われてる部分はあると思うんですけど、父はすごいリーダーシップでみんなをぐいぐい引っ張っていくタイプなんですね。 それに比べると僕は周りを注意深く見ながら分析するのは得意なんですけど、父のように主張することはあまり慣れてないんですね。
ここぞというときにそういうことができるようにはなりたいと思いますね。

石)わかりました。では次ですが、個人のことでも結構ですので今後の目標、夢について教えていただけますか?

井沢)ちょっと叶いそうにない夢なんですが、スキーが好きなんで、ヨーロッパやニュージーランドのスキー場に行ってみたいなぁとは思いますね。 ところが、夏は夏期講習で忙しいし冬は冬期講習があって忙しいので、一年中あまり長い休みを取ることができないんです。
そういう訳なのでなかなか難しいとは思うんですけど、いつかは行ってみたいなぁと思ってます。

石)世界を色々渡り歩いてみたいということですかね

井沢)そうですね、世界中のスキー場を渡り歩くのが夢ですね

石)ありがとうございます。では次ですが、うちの研修についてのご感想をお聞かせください。

井沢)そうですね、自社の部門に、教えていただいた内容を上手く取り込むことができて、すごく助かっています。
共通言語として話せる言葉があるっていうのはやっぱり便利ですね。受けている幹部も、もともとそういったことに親和性のあるタイプだというのもあってすごく前向きに受け止めることができているようです。

石)お役に立てて何よりです。では最後に、井沢さんにとって経営というのはどういうことかお聞きしたいと思います。

井沢)社会貢献というには綺麗すぎると思うんですけど、人様に認めてもらえて、あの人がいるから助かっていると言ってもらえるのは嬉しいことですね。 経営を通じて自分たちの存在意義っていうのを感じることができるのはすごくありがたいことだと思います。 それと今、40半ばに差し掛かってきて自分の人生は何なんだろうということを考えるようになりました。
これまでは、只々今を生きていたのに対し、最近になって自分の人生の意義を探すようになってきたんです。
そういったことは経営を通じて考えるようになったことなのかなと思います。

石)経営とは人生の意義を探すこと。
なるほど、含蓄ある言葉ですね。今日は有難うございました。

聞き手 パワーザイム株式会社
代表取締役 石光仁

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